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最近読んだ本の話 vol.97

 「最近読んだ本の話」の第97弾です。八重桜があっという間に満開になりました。今年は早かったなあ。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。

1、アントワーヌ・ローラン『青いパステル画の男』

もしも別の人生を生きられるなら――。フランス発、大人のおとぎ話第三弾。
パリの弁護士ショーモンは古いモノが好き。仕事は順調、稼ぎも良いが、趣味の骨董収集に妻も周囲も全く関心を持ってくれない。ある日、自分そっくりの18世紀の肖像画を落札したショーモンは、その男の正体を探す旅のなかで、奇妙な偶然に巻き込まれていく……。『赤いモレスキンの女』の著者による鮮烈なデビュー作。

Amazonより引用

 『赤いモレスキンの女』を以前読んでとても好きだったので、この本も読んでみたくなりました。主人公のショーモンは、パリで弁護士をしていますが、古いモノが大好きで仕事の合間にオークションに出かけるほど骨董収集に熱中しています。妻も周囲も全く関心を持ってくれず、ショーモンの趣味にとても冷ややかです。そんなある日、自分そっくりの18世紀の肖像画を落札したショーモンは、その男の正体を探すためインターネットで膨大な量の紋章を調べて、とうとう男の正体につながる家系を見つけ出して、その地域に出かけていきます。現地に到着したショーモンは、行方不明になっていたお城の城主と間違えられて…。
 こんなことってできるんだろうか?ショーモンは別人になりすまして別の人生を生き始めるのです。最後の場面はどういうことなのか⁉せっかくなりきれたのだからそのまま続けてほしい、と私は思ってしまったんだけどなあ。

 

2岸本佐知子、柴田元幸(翻訳)『アホウドリの迷信 現代英語圏異色短篇コレクション』

翻訳家・岸本佐知子と柴田元幸が贈る、海外短篇小説アンソロジー。 日本にまだあまり紹介されていない英語圏の8作家による10篇を精選。 対談「競訳余話」も収録。

Amazonより引用

 岸本さんと柴田さんが、それぞれ選んで訳した短篇を4作品ずつ紹介していて、2作品ごとにお2人の対談が挟み込まれているという夢のような本です。読んだことのない作家の面白い作品が読めて、どこに惹かれてお2人がその作品を選んだのかなどのお話も聞けるので、とても楽しい内容でした。


3、セレステ・イング『秘密にしていたこと』

時代を超えて読みたい家族の物語
少女の死をきっかけに家族がそれぞれ抱えていた秘密が語られ、一家の深い闇が暴かれる。
死の真相を追うというミステリーの枠組みこそあれ、そこで語られているのは差別によって
心を蝕まれた家族の崩壊と再生の物語である。

Amazonより引用

 リディアという少女が亡くなったことが1行目に書かれていて、でも家族はまだそのことを知らず、家じゅうを探し回っています。リディアは兄と妹がいる5人家族で、兄のネイスは、リディアが数か月前から近所に住むジャックという少年と一緒に行動していることを黙っていたため、彼が怪しいとなかなか言えずにいます。妹のハンナは、夜中の2時頃にリディアが1人で外に出かけていくのを家の中から見ていましたが、なぜ止めなかったのかと両親に怒られそうでそのことが言えません。リディアに何が起こったのか?
 父のジェームズはアメリカ生まれの中国人で、大学でカウボーイについて教えていますが、幼い頃から他の人とは違うという視線や嫌がらせなどの差別を受けてきて、自分の娘にはたくさんの友だちを作って楽しく生きてほしいと願っています。母のマリリンはアメリカ人で、医者になりたくて大学に通っていましたが、ジェームズと出会って恋に落ちて妊娠したため、医者になることをあきらめて結婚したのですが、ずっとそのことが心に引っかかっています。ネイスにも、リディアにも、ハンナにもそういう他の家族には話せていない秘密があり、それが徐々に語られながら、物語は進んでいきます。最後の方で読者にだけリディアの死の真相が明かされます。言葉に出さないと伝わらないことばかりだ。こんなデビュー作すごすぎるなあ!


 4月になってもう半月たちました。今はGWに何をしようか考えるのが楽しみです。最後までお読みくださってありがとうございました。

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