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最近読んだ本の話 vol.125

 「最近読んだ本の話」の第125弾です。毎日暖かくなったり寒くなったりの繰り返しです。今年はまだ雪を見てないけどもう降らないかもしれないなあ。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。

1、佐川 光晴『あけくれの少女』

「どこで、どうやって生きていくのか、うちは自分で決めたい」12歳の少女・真記は上京を目指すも、80年代後半の狂騒に翻弄され……親世代にも子世代にも読んでほしい、宝石のような20年間を描いた佐川光晴の最新長編小説。
広島は尾道の少女・真記は、1970年生まれ。子供のいない伯父夫婦からかわいがられ、養女になるかもと心配事は絶えない。中学では英語部の朗読劇が大成功をおさめ、英語を一生の仕事にしていこうと決意する。念願の学生生活は、80年代後半のバブル経済のただなかで、順調そうにみえたのだが……。
当時の時代背景や男女の考え方を、時に繊細に、時にユーモラスに描出する。真記と同時代を生きた人にも、そしていま同世代の人にも読んでほしい青春小説。

Amazonより引用

 主人公の真記は広島の尾道で生まれた12歳の少女で、真記が伯父夫婦の家に度々遊びに行くところから物語は始まります。時代は1980年代で日本はバブルの時期です。伯父夫婦の養女にならなければならない運命から、父が株と土地で儲けたおかげで養女にならなくてよくなり、真記は好きな英語の勉強を続けて東京の大学に進学します。しかし大学2年の時に父が破産して、弟は伯父夫婦の養子に、父母はどこかで仕事を見つけて働くことになり、真記は退学して看護学校に入ります。10代から30代半ばまで、真記が出会う人たちやいろいろなできごとが丁寧に描かれていて、読むと知ってる人みたいな気がしてきます。20年間の物語なのに一生分読んだような気持ちになりました。

 

2、一穂 ミチ『スモールワールズ』

夫婦、親子、姉弟、先輩と後輩、知り合うはずのなかった他人ーー書下ろし掌編を加えた、七つの「小さな世界」。生きてゆくなかで抱える小さな喜び、もどかしさ、苛立ち、諦めや希望を丹念に掬い集めて紡がれた物語が、読む者の心の揺らぎにも静かに寄り添ってゆく。吉川英治文学新人賞受賞、珠玉の短編集。
ままならない、けれど愛おしい
「小さな世界」たち。

Amazonより引用

 前から気になっていてやっと読めました。読むと登場人物たちをそっと応援したくなるような、内々のことを知って味方したくなるような、こういう気持ちを引き起こす物語をどうやったら書けるんだろう?気持ちと行動の描き方かなあ。すごいです。


3、パトリシア・ハイスミス『サスペンス小説の書き方』

「あらゆる物語には、サスペンスがある。」
ミステリの鬼才・ハイスミスが唯一残した創作指南書、待望の初邦訳!
「私は物語のきっかけになるような日々の出来事からこの本を始めている。作家はそこから進んでいく——まず作家が、次に読者が動き出す。芸術はいつでも、おもしろいことや、数分ないし数時間を費やす価値があると思えることを語って、読者の気を惹けるかどうかの問題なのである。」(本文より)
鋭利な観察眼と執拗な心理描写、深い洞察と巧みな構成で多くの文芸ファンをも魅了するサスペンスの巨匠、パトリシア・ハイスミス。「この本はハウツー式の手引き書ではない。どうすれば成功する本、つまり読みやすい本が書けるかを説明することは不可能である」と本書冒頭で確言する著者が、自らの「小説を書くことと、それを職業にすること」についてのノウハウを明かした、文章読本・執筆論。
本書は、1966年に初版が刊行され、その後なんども版元を変えながら現在まで熱心に読み継がれてきたハイスミスの隠れた名著。長編・短編集を合わせ30タイトルほどある作品のほぼすべてが邦訳されている作家の唯一の小説指南書であり、今回が待望の初邦訳となる。

何が「小説を書くこと」を専門的職業としうるのか、なおかつ何がそれを刺激的で生き生きとしたものにするのか。同時に、絶えず失敗の可能性を秘めたものである「執筆」において、失敗から学べることとはなんなのか。ハイスミスは本書において、サスペンス小説の重要な要素をプロセスに分けて解説し、アイディアの芽、書き始め、プロットの作り方、行き詰まり、初校、改稿など、自身の小説から豊富な実例を示しながら余すところなく説明していく。自身の経験から成功や失敗についても包み隠さず語られ、そのキャリアに基づいた実践的なアドバイスは、失敗や行き詰まりを経験した作家志望者の心を必ず捉えるだろう。
ミステリに限らず、全てのジャンルの小説家志望者必読書!

Amazonより引用

 面白いです!サスペンス小説を書こうと思っていなくても楽しめます。アイデアが生まれてどうやって小説になっていくのか、著者の作品の一部が紹介されつつ説明がされるのでわかりやすいです。紹介された作品は全部読みたくなってしまいます。よく作家の方が「登場人物が勝手に物語を作ってくれる」などと言われることがありますが、この本を読んで、そういうことか!とわかりました。


 毎日が慌ただしすぎてこまぎれの時間にしか本が読めません。でも少しでも読むとその本の世界に引き込まれて、頭の中が切り替わるのがいいなあと思います。最後までお読みくださってありがとうございました。

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