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最近読んだ本の話 vol.76

 「最近読んだ本の話」の第76弾です。今週は日中は真夏のように暑かったですが、朝晩は少し涼しくなりました。楽しみにしていた3連休に台風がやって来るなんて!最近読んだ本を3冊ご紹介します。


1、スザンナ・クラーク『ピラネージ』

この奇妙な館にひとり暮らす「僕」が、
自分の過去に、そして世界に疑問を抱いたとき、
彼の世界はまわりはじめる・・・・・・
そこは、海からの潮に洗われ、
古代めいた彫像に飾られた
数多の広間が連なる館。
ピラネージは海に囲まれた神殿を思わせる、巨大な建造物の中で孤独に暮らしていた。他にこの世界にいるのは、たまに話をする学者だけ。だが、ある日見知らぬ老人に出会ったことから、彼は自分が何者で、なぜこの奇妙な世界にいるのかを疑問に思い、失われた記憶を探り始める。数々の賞を総なめにした『ジョナサン・ストレンジとミスター・ノレル』の著者が、異世界とは何か、人はなぜ異世界に惹かれるのかという根源的な謎に挑む傑作。
                           -Amazonより引用-

 主人公のピラネージは、めちゃくちゃ大きな神殿のような所に住んでいます。大きな広間がたくさんあり、彫像やミイラがあって、海に囲まれていて潮の満ち引きで水没する場所もあります。ピラネージはそこで魚を捕ったり、海藻でスープを作ったり、広間の場所や像を調べたりして暮らしていますが、もう1人住人がいて、そのもう1人はいつもきれいなスーツを着て、ピカピカな靴を履き、たくさんの持ち物があります。ピラネージは騙されているのでは?と心配になりながら読み進むと、ある日老人に出会ったことで状況は変わっていきます。ピラネージはなぜこの場所に来て、なぜこの場所に来るまでの記憶を失っているのか。だんだんと謎が解けていきます。どういうことだったのか知りたくて、最後までぐいぐい読み進みました。著者の前作の長編も読んでみたくなりました。


2、北野 勇作『かめくん』

かめくんは自分がほんもののカメではないことを知っている。図書館が好き。仕事も見つけた。木星では戦争が…。日本SF大賞受賞作。
                         -Amazonより引用-

 かめくんは本物のカメではありません。メカメとかレプリカメと呼ばれるらしいです。かめくんはいろんなことができて、仕事もします。アパートで暮らしていて、お気に入りの図書館があり、その図書館で働くミワコさんのことが気になっています。甲羅の中にはたくさんのデータが詰め込まれているようなのですが、かめくんは木星にいた頃の記憶はありません。レプリカメは木星で戦闘をするために作られたようで、また仲間たちと一緒に木星に行く日が近づいてきて…。かめくんはもちろん他の登場人物も、ほのぼのしていたり謎めいていたりします。かめくんまた戻ってくるかなあ。


3、ジーン・リース『あの人たちが本を焼いた日』

――わたしはどこにも属していないし、属すためのやりかたを買うお金もない。
カリブ海生まれのジーン・リースは、ヨーロッパでは居場所を見出せない、疎外された人であった。
しかも女性である。
自身の波乱に富んだ人生を下敷きにした、モデル、老女、放浪者などの主人公たちは、困窮、飲酒、刑務所暮らし、戦争と数々の困難を生きる。
だが彼女らはけっして下を向かない。
慣習と怠惰と固定観念をあざ笑うように、したたかに生きる。
《いま新たな光を浴びる、反逆者リースの本邦初、珠玉の作品集》
                         -Amazonより引用-

 1つ目の物語が『あの人たちが本を焼いた日』です。お母さんはカリブ海のこの物語の舞台になっている島の人で、お父さんはイングランドの人、という男の子と、幼馴染の女の子が出てきます。男の子のお父さんはイングランドから本を買っていて、たくさんの本が書斎にあったけれど亡くなってしまい、男の子と女の子が書斎を使っていました。そんなある日男の子のお母さんとメイドさんが、書斎の本を棚から出して、売る本と焼く本に分け始めてしまいます。男性作家の本は売る本に、女性作家の本は焼く本に。男の子と女の子は本を救おうとして、焼く本の中から1冊ずつ取って家を飛び出します。女の子はその本を大切に読もうと思ってよく見ると、フランス語で書かれた本だった…。丁寧な描写と説明を省いた部分の緩急というかバランスが素晴らしいです。想像するんだけどわからない部分も多い。私の知識と理解が不足しているからか。


 今週は「最近読んだ本の話」を書くことができました。すこしだけ涼しくなって、本に集中できるようになってきたかなあ。最後までお読みくださってありがとうございました。

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