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最近読んだ本の話 vol.117

 「最近読んだ本の話」の第117弾です。もう11月になりました。そろそろ紅葉がはじまりますね。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。

1、岩井 圭也『楽園の犬』

<あらすじ>
時代が大きなうねりを見せる中、個人はどこまで自分の考えを持つことができるのか?
そして、どこまで自らの意思を通すことができるのか?
南洋の地を舞台にした壮大な物語がここに――。
1940年、太平洋戦争勃発直前の南洋サイパン。
日本と各国が水面下でぶつかり合う地に、横浜で英語教師をしていた麻田健吾が降り立つ。
表向きは、南洋庁サイパン支庁庶務係として。だが彼は日本海軍のスパイという密命を帯びていた。
日本による南洋群島の支配は1914年にさかのぼるが、海軍の唱える南進論が「国策の基準」として日本の外交方針となったのは1936年だった。
その後、一般国民の間でも南進論が浸透していった。
この地にはあらゆる種類のスパイが跋扈し、日本と他国との開戦に備え、海軍の前線基地となるサイパンで情報収集に励んでいた。
麻田は、沖縄から移住してきた漁師が自殺した真相を探ることをきっかけに、南洋群島の闇に踏み込んでいく・・・・・・。

Amazonより引用

 1940年、太平洋戦争勃発直前の南洋サイパンが物語の舞台です。主人公の麻田は横浜で英語教師をしていましたが、喘息の症状がひどくなり退職して、南洋庁サイパン支庁庶務係の職を得て、サイパンに赴任します。サイパンには多くのスパイがいて、麻田はそのスパイたちから日本の情報が盗まれるのを防ぐ役割のスパイ活動を命じられていました。麻田は海軍少佐の堂本の手足となり、情報を集めます。その過程で日本からの移住者や島民たちとの鬼気迫るやり取りもあり、親しくなったりもするのですが、とうとう開戦し、麻田の上司である堂本が行方不明になってしまいます。
 自分が麻田の立場だったらどうしただろう?サイパンが占領された後の麻田の行動もすごいです。


2、江國 香織『シェニール織とか黄肉のメロンとか』

かつての「三人娘」が織りなす幸福な食卓と友情と人生に乾杯!
作家の民子、自由人の理枝、主婦の早希。
そして彼女たちをとりまく人々の楽しく切実な日常を濃やかに描く、愛おしさに満ち満ちた物語。
江國香織〝心が躍る〟熱望の長編小説。
「会わずにいるあいだ、それぞれ全然べつな生活を送っているのに――。会うとたちまち昔の空気に戻る」――作家の民子は、母の薫と静かなふたり暮らし。
そこに、大学からの友人・理枝が、イギリスでの仕事を辞めて帰国し、家が見つかるまで居候させてほしいとやってきた。
民子と理枝と早希(夫とふたりの息子がいる主婦)は、学生時代「三人娘」と呼ばれていた大の仲良し。
早速、三人で西麻布のビストロで、再会を祝しておいしい料理とワインを堪能しながら、おしゃべりに花が咲いて・・・・・・

Amazonより引用

 こんな女友達がいたら楽しいだろうなあ。民子と理枝と早希の3人は学生の頃からの友達で、まったく違った性格なのになぜか気が合ってかれこれ40年の付き合いになります。イギリスでの仕事を辞めた理枝が帰国して、家が見つかるまで民子の家に居候することから物語は始まります。
 大学時代の3人は、外国の小説に出てくる何かはわからないけど心惹かれる名前の物について、イメージしながら話すことが楽しかったそうです。それが『シェニール織』とか『黄肉のメロン』のことなのですが、私も外国の物語に出てくる物を想像して憧れた記憶があって、そういう気持ちわかるなあ!と思って、読んでいて楽しくなりました。


3、川上 弘美『恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ』

あ、また時間に捕まえられる、と思った。
捕まえられるままに、しておいた。
小説家のわたし、離婚と手術を経たアン、そして作詞家のカズ。
カリフォルニアのアパートメンツで子ども時代を過ごした友人たちは、
半世紀ほどの後、東京で再会した。
積み重なった時間、経験、恋の思い出。
それぞれの人生が、あらたに交わり、移ろっていく。
じわり、たゆたうように心に届く大人の愛の物語。

Amazonより引用

 幼い頃カリフォルニアに住んでいた小説家の主人公、その幼馴染のアンとカズが東京で再会して、3人のそれぞれの人生を振り返ったり、コロナが拡がって過ごし方も変わった3人のそれぞれの今が描かれていたり、という物語です。主人公とカズの関係は友達と恋人の間のような、パートナーではない、でも何かあっても無くても連絡しあって一緒にごはんを食べて話したりする仲です。こういう関係の人がいるのはいいなあ。


 ハロウィンも終わって11月になりました。思ったよりも読書の時間が取れません。出かけたりして他の誘惑が多いからか。最後までお読みくださってありがとうございました。

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