最近読んだ本の話 vol.96
「最近読んだ本の話」の第96弾です。暖かくなって桜が散りつつある中、ツツジが咲き始めました。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。
1、村山 由佳『ある愛の寓話』
6つの愛にまつわる物語が収録されています。1つ目の『晴れた空の下』は、最後にそうだったのか!とわかって、涙がドバっと出ました。美しい愛です。自分が大切にしてきたぬいぐるみを一緒に大切にしてくれる人と巡り合えるのは幸せですね。不思議な物語ばかりなのだけど、説得力があるというか、そういう人もいるよね、と思えてしまう素晴らしい描写力です。村山さんの長編小説しか読んだことがなかったのですが、短編もいい!独特の世界が描かれているんだけど、主人公の気持ちが十分に伝わってきて、ジーンとします。
2、岩井 圭也『完全なる白銀』
ⅠからⅩまでの10章からで構成されていて、2023年の現在と、過去の何年かの時代のできごとが交互に描かれています。
主人公の緑里は写真家で、冬のアラスカに向かっています。友人のシーラと北米最高峰のデナリに登頂するためです。なぜそんなことになったのか、緑里は学生時代にどうしても行ってみたかったサウニケという北極海に面した小さな島に行きます。そこで知り合ったリタとシーラと仲良くなります。サウニケは、地球温暖化の影響で海に浸食されていてこのままでは島は海に沈んでしまう、その危機を世界に知らしめるためにリタは登山家になりました。自分が北米最高峰デナリの冬季単独登頂に成功したら、緑里に写真を撮ってほしい、そう約束していたのですが、リタは行方不明になってしまいます。心無い記者にリタの今までの登頂は詐称だったのではないかという記事を書かれてしまい、緑里とシーラはリタの登頂を証明できる何かを見つけるためその後何年もトレーニングをして、とうとう2人で冬のデナリに登頂するのですが…。2人がぎくしゃくしながら登り始めますがいろんな出来事に見舞われて、だんだん心が近づいてきます。私は冬山に登ろうと思ったことはないのですが、読みながら2人の過酷な挑戦を一緒に体験した気持ちになりました。凍った崖みたいなところを登るのは、私には絶対できないと思うけど。
3、阿刀田 高『小説作法の奥義』
また小説の書き方の本を読んでしまいました。やり方は人によって違うはずなので、色んな方法を知りたくなってしまいます。この本には短編小説の発想のヒントがたくさん書かれています。思い付いて発想を繋げていって、それで書けるっていうところが技術だよなあ。文章を書く力って、書き続けていけば上達するようになるのかなあ。
もう4月になりました。毎日が慌ただしく過ぎていきます。今年になってもう3か月たったんだ!最後までお読みくださってありがとうございました。
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