最近読んだ本の話 vol.116
「最近読んだ本の話」の第116弾です。秋らしくなってきました!紅葉はまだもうちょっと先かな。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。
1、辻村 深月『この夏の星を見る』
辻村深月さんの新刊(6月発売)です。楽しみにしていたのでワクワクしながら読みました。
亜紗(茨城県立砂浦第三高校の二年生で天文部)、真宙(まひろ・渋谷区立ひばり森中学の一年生で理学部)、円華(まどか・長崎県五島列島の旅館の娘。高校三年生で吹奏楽部)の3人の物語が順番に描かれていて、途中で3つの物語がつながります。舞台は2020年、コロナ禍で部活動が次々と制限される中、できることはないかと模索する中高生と大人たち。望遠鏡で星を捉えるスピードを競う「スターキャッチコンテスト」に興味を持った真宙たちが、亜紗たちの砂浦第三高校天文部に連絡したことをきっかけに、円華たちの長崎の天文台も合同で「スターキャッチコンテスト」をリモートで開催します。私は望遠鏡で星を見たことがないということに気づいて、天文台に行ってみたくなりました。こんな仲間が全国にいたら楽しいだろうなあ!
2、ジュンパ・ラヒリ『思い出すこと』
読み始めてすぐ、ラヒリさんが住むローマの家の机の引き出しから見つかったノートに書かれた詩の話だと分かって、ラヒリさんの書いたものじゃないのかと残念な気持ちになったのですが、詩を読み始めると、あれ?ラヒリさんっぽいな、と思いあとがきを急いで読むと、ラヒリさんが自分と、詩を書いた「ネリーナ」と、詩を編纂・監修したマッジョの一人三役をしていると判明しました。よかった!自分とよく似た他人になり切って書くというのはどんな気持ちがするのかやってみたい気がする。
3、トルーマン・カポーティ『遠い声、遠い部屋』
トルーマン・カポーティの小説を読んだことがなかったので読みたいと思っていたら、村上春樹さんの新訳が出て、最初に読むのはこれだ!と思い、読みました。
主人公はジョエルと言う名の13歳の少年です。母親が亡くなってから親戚の家で暮らしていましたが、突然10年以上会っていなかった父親から手紙と小切手が届き、父親の家まで1人で行くことになります。すっかり疲れ果てて着いた邸はとても古く、あちこちに埃が溜まっていて、父親の妻のエイミーもその従兄弟のランドルフも働いている人たちも皆が不思議なのですが、誰もジョエルの父のことを教えてくれず、具合が悪いからと言う理由で会わせてくれません。なぜジョエルは呼ばれたのか、これからどうなるのか気になって、ぐいぐい読みました。とうとう父親に会わせてもらったジョエルは、隠されていた事実を知ります。ジョエルの想像した世界と物語の中の現実の世界が入り混じって、どこからどこまでが実際に起こったことなのか判別がつかないような不思議な魅力のある物語で、文体が独特の魅力を放っています。もっと他の作品も読んでみたくなりました。
もう10月も終わりなんて早すぎる!それなのに私はまだ半袖の服を着ているなんて!最後までお読みくださってありがとうございました。
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