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最近読んだ本の話 vol.106

 「最近読んだ本の話」の第106弾です。昨日は最高に暑かったですが、今日は曇っているのに暑いです。湿気が多いのかなあ。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。

1、凪良 ゆう『流浪の月』

愛ではない。
けれどそばにいたい。
新しい人間関係への旅立ちを描いた、息をのむ傑作小説。
最初にお父さんがいなくなって、次にお母さんもいなくなって、わたしの幸福な日々は終わりを告げた。すこしずつ心が死んでいくわたしに居場所をくれたのが文だった。それがどのような結末を迎えるかも知らないままに――。だから十五年の時を経て彼と再会を果たし、わたしは再び願った。この願いを、きっと誰もが認めないだろう。周囲のひとびとの善意を打ち捨て、あるいは大切なひとさえも傷付けることになるかもしれない。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。本屋大賞受賞作。

Amazonより引用

 とても話題になった作品ですが、読んでいなかったのを思い出して読みました。タイトルから勝手に想像して時代小説かと思ってましたが、全然違いました。
 主人公の更紗は9歳で、父と母がいなくなって親戚の家に預けられましたが、死にたくなるほど嫌なことから逃げる場所がなく、公園で友達と遊んだ後に1人だけ戻ってきてベンチに座って時間をつぶしていました。反対側のベンチに座っている男の人は、小さい女の子をいつも見ていました。そんなある日雨が降ってきて、それでも家に帰りたくなくて座り続ける更紗に、その男の人が初めて声をかけます。その人は文という名の大学生で、更紗にとてもやさしくておかしなことなど何もしなかった。更紗は久しぶりに安心して伸び伸び自由に振舞えて、いつまでも文の家にいたいと願っていたが…。
 更紗と文がずっと一緒にいられたらいいのに!と思いながらも、そういうわけにはいかないのだろう、だけど何か方法はないのか⁉と考えながら読んでいましたが、物語では最悪の状況が起こってしまい、文は警察に捕まって、更紗は家に戻されてしまいます。それから15年経って、2人は再会しますが、それからも大変なことが次々起こって、2人は住んでいた街を出ることになります。インターネットに残った情報がいつまでも2人を苦しめます。もうそうっとしといてあげてほしい!更紗と文と更紗の職場の友人の娘の梨花が仲良くなって、3人が気が合って楽しそうなところがいいです。

 

2、ジェイン・オースティン『自負と偏見』

恋心か打算か。幸福な結婚とは?軽妙なストーリーに織り交ぜられた普遍の真理。永遠の名作、待望の新訳!解説・桐野夏生。イギリスの静かな田舎町ロングボーンの貸屋敷に、資産家ビングリーが引っ越してきた。ベネット家の長女ジェインとビングリーが惹かれ合う一方、次女エリザベスはビングリーの友人ダーシーの気位の高さに反感を抱く。気難しいダーシーは我知らず、エリザベスに惹かれつつあったのだが……。幸福な結婚に必要なのは、恋心か打算か。軽妙な物語(ストーリー)に、普遍の真理を織り交ぜる。

Amazonより引用

 ずっと気になっていた作品ですが未読で、先日辻村深月さんの『Another side of 辻村深月』の中で、『傲慢と善良』はこの作品を再読している時に思い付いたと知って、ぜひ読んでみたいと思いました。
 物語はイギリスの静かな田舎町・ロングボーンに資産家のビングリーが引っ越してくることを知ったベネット家の五人姉妹の母が、夫にその情報を知らせるコミカルなやり取りから始まります。そのこととうちの娘が何の関係があるんだ?と言う夫に対して、妻が、うちの娘を好きになるかもしれない、気に入るに決まっている!と断言します。このお父さんが面白いです。ベネット家の長女のジェインは本当にビングリーに気に入られ、二人はお互いに惹かれ合います。次女のエリザベスは、ビングリーの友人のダーシーの高慢な態度が気に入らなかったのですが、その後その考えは変わるのか⁉      登場人物が生き生きと描かれているので、物語の時代は随分前なのにこういう人いるなあ、と今に通じるお話です。半分までは少し退屈でしたが、ちょうど真ん中の辺りで物語が急激に動き始めてエリザベスとダーシーがどうなるのか気になって、その後は一気に読めました。それにしても、この小説を読んで『傲慢と善良』を思い付く辻村さんはやっぱりすごい!と思ったのでした。



3、小池 水音『息』

息をひとつ吸い、またひとつ吐く。生のほうへ向かって――。喘息の一息一息の、生と死のあわいのような苦しさ。その時間をともに生きた幼い日の姉と弟。弟が若くして死を選んだあと、姉は、父と母は、どう生きたか。喪失を抱えた家族の再生を、息を繋ぐようにして描きだす、各紙文芸時評絶賛の胸を打つ長篇小説。新潮新人賞受賞作「わからないままで」を併録。注目の新鋭による初めての本。

Amazonより引用

 「息」と「わからないままで」の2篇が収録されています。
 「息」は15年ぶりにぜんそくの発作が起こってしまった主人公が、弟のことを思い出している話です。弟はもう生きていないようで、主人公は弟に話しかけようとする夢を何度も見ます。
 描写の美しさと切迫感、どうやって表現したらその気持ちを表せるのか言葉の選択が難しい登場人物たちの気持ちを、見事に描き出していてすごいです。こんなふうに書ける人がいるんだなあ。
 「わからないままで」がデビュー作で、「息」は第2作だそうです。計り知れない才能だ!単行本では「息」が先になっていて、「わからないままで」が後ろに収録されています。この配置がなぜこうなっているのか「わからないままで」を読んでいる時に気づいて、納得しました。


 あっという間に7月になりました。涼しい場所で本を読みたいけど、電気代が気になってエアコンをつけっぱなしにできないし、どうすればいいんだ!と悩み中です。最後までお読みくださってありがとうございました。

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