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#エッセイ

最近読んだ本の話 vol.129

 「最近読んだ本の話」の第129弾です。この間まで桜が咲いていたのにもう暑くなってきました。まだ4月なのに!今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、九段 理江『しをかくうま』  始まりは幻想的な馬と人間との出会いが描かれていますが、次の章からは雰囲気がガラッと変わり、現代のお話です。競馬実況の仕事をしている主人公がいかに馬を愛しているか、夜通し実況を練習し続ける姿などが描かれます。一体この物語はどうなっていくのか⁉と気になって読み進みました。筆力がすごいです。どんなこ

最近読んだ本の話 vol.120

 「最近読んだ本の話」の第120弾です。もう12月です!だんだん寒くなってきましたが、週末は暖かそうです。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、寺地 はるな『わたしたちに翼はいらない』  同じ市に住んでいる登場人物数人の、今の生活と過去のできごと、今何を思っているのかが描かれつつ物語が進んでいきます。その登場人物たちが、元々知り合いだったり、最近知り合ったりしてどんどん繋がっていきます。中学時代の同級生を殺そうと考えている園田が、シングルマザーの朱音と親しくなったり

最近読んだ本の話 vol.119

 「最近読んだ本の話」の第119弾です。寒くなってきました。あっという間に秋が終わってもう冬?今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、沢木 耕太郎『夢の町本通り:ブック・エッセイ』  沢木さんが30年あまりの間に書かれた本にまつわるエッセイが集められた本です。読んでいると、30年くらい前に書かれたエッセイも最近書かれたエッセイも間違いなく沢木さんで、思考することは年月が経ってもそう変わらないのだと感じました。私もきっと考えることはそう変わらなくて、たとえ肉体は衰えてい

最近読んだ本の話 vol.111

 「最近読んだ本の話」の第111弾です。9月になりました!まだまだ暑いですね。最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、森 バジル『ノウイットオール あなただけが知っている』  推理小説/青春小説/科学小説/幻想小説/恋愛小説の5章からなる本です。  1章目の「推理小説」は、殺人事件現場からはじまります。5つの物語はそれぞれ関係があって、登場人物があっちにもこっちにも出てきて面白いです。あの場面はこういうことが起こっていたのか!と後からわかりますが、登場人物たちはお互いの関係

最近読んだ本の話 vol.107

 「最近読んだ本の話」の第107弾です。梅雨が明けました!明ける前から暑かったけど、明けてからもやっぱり暑いなあ。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、村井 理子『本を読んだら散歩に行こう』  「本」がタイトルにある本は気になって読んでみたくなります。この本もどんなことが書かれているのか気になって読みました。  著者の考えていることが手に取るようにわかるようなエッセイで、親しみを感じます。読んでいると自分ももっと書きたい気持ちになってきます。紹介されている本は面白

最近読んだ本の話 vol.104

 「最近読んだ本の話」の第104弾です。もう6月も終わりです。1年の半分があっという間に!今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、窪 美澄『夜空に浮かぶ欠けた月たち』  1話目の主人公の澪は、大学に入学して東京へ来たが周りの同級生のキラキラ感に圧倒されて学校に行けなくなってしまいます。バイト先の喫茶店の店長・純さんにすすめられて「椎木メンタルクリニック」に行き、少しずつ元気を取り戻していきます。登場人物たちはそれぞれいろんな事情で「椎木メンタルクリニック」に行くのです

最近読んだ本の話 vol.99

 「最近読んだ本の話」の第99弾です。もう5月です。GWもあと2日で終わり。もっと続いてほしかった!最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、三浦 しをん『好きになってしまいました。』  面白いです!私はなぜ今まで三浦しをんさんのエッセイを読まずに生きてきたんだろうか?2012年から2022年の間にいろんな雑誌や新聞で書いたエッセイが収録されています。私とは好みのものは違うのに思考が似ていて同じ種類な感じがします。本と漫画と音楽と植物が好きなところは共通している。楽しい人だな

最近読んだ本の話 vol.98

 「最近読んだ本の話」の第98弾です。うちの近所では薔薇が咲き始めました。今日からGWが始まってさっそく雨ですが、楽しみたいと思います。最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、イザベラ・ディオニシオ『女を書けない文豪たち イタリア人が偏愛する日本近現代文学』  この本めちゃくちゃ面白いです。こういう出会いがあるから本を読むのはやめられません。日本現代文学の文豪たちは、女心をまったくわかってない!とイタリア人の著者が説得力のある言葉で綴っています。紹介されている作品は、『舞姫

最近読んだ本の話 vol.92

 「最近読んだ本の話」の第92弾です。あっという間にもう2月が終わります。早かった!今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、穂村 弘『短歌のガチャポン』  私は20代前半の頃に短歌を作っていたことがあるのですが、もう今は作っていなくて、でも読むのは好きです。この本面白そう!と思って手に取ったのですが、幅広い年代の方のいろんな歌が収録されていて、面白かったです。その上、メリンダ・パイノのさんのイラストがめちゃめちゃいいです。自分でも短歌を作ってみたくなって、最近通勤途中

最近読んだ本の話 vol.86

 「最近読んだ本の話」の第86弾です。とうとう昨日雪が降りました。めっちゃ寒いクリスマスイブです。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、柚木 麻子『とりあえずお湯わかせ』  柚木麻子さんのエッセイです。どんな日常を過ごしてらっしゃるのか興味があって、わくわくしながら読みました。この本に収録されているエッセイの途中までは、『きょうの料理ビギナーズ』で連載されていたそうです。  柚木さんはお料理が上手そうで、美味しそうな物、なかなか自分で作ろうと思わないような凝った物を

最近読んだ本の話 vol.84

 「最近読んだ本の話」の第84弾です。すっかり冬のような寒さになりました。もう冬なのかな?今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、五十嵐 律人『幻告』  主人公の宇久井傑は、裁判所書記官として働いています。ある日、意識を失って目が覚めると五年前にタイムスリップしていました。その日は、傑の父親が有罪判決を受けた日でした。この日に戻ってきた意味とは?  傑は五年前の世界で過去の記憶とは違う行動をとりますが、現在に戻ってきた時に今が書き換えられていて、自分が過去に戻った時の

最近読んだ本の話 vol.83

 「最近読んだ本の話」の第83弾です。朝晩冷え込む日が増えてきました。冬が近づいてきたなあ。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、小砂川 チト『家庭用安心坑夫』  主人公の小波が日本橋三越の大理石の柱に、自分の実家にある洋服ダンスに貼った覚えのあるケロケロケロッピのシールを見つけるところから物語は始まります。描写力が新人とは思えません。小波の日常が綴られていると思ったら、「ツトム」という人物が突如あらわれて、小波が幼い頃母親から教えられた父親だというのですが、坑夫の

最近読んだ本の話 vol.80

 「最近読んだ本の話」の第80弾です。朝晩が肌寒くなってきました。もうすぐ紅葉が見られるでしょうか。楽しみです。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、加藤 シゲアキ『できることならスティードで』 大阪やパリ、スリランカ紀行から、学校に行く意味を考える「小学校」、故ジャニー喜多川氏への思いを綴った「浄土」まで、 広義の旅をテーマにした著者初のエッセイ集が待望の文庫化! エッセイ15編、"旅する"掌編小説3編のほか、文庫版のために書き下ろしたあとがき(仮)も収録する。 

最近読んだ本の話 vol.70

 「最近読んだ本の話」の第70弾です。毎日暑い日が続いています。まだ7月上旬だというのに。来月はどうなるんでしょう?今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、五十嵐 律人『六法推理』 その悩み、一人で抱え込まずお気軽に無法律へ。 学園祭で賑わう霞山大学の片隅。法学部四年・古城行成が運営する「無料法律相談所」(通称「無法律」)に、経済学部三年の戸賀夏倫が訪れる。彼女が住むアパートでは、過去に女子大生が妊娠中に自殺。最近は、深夜に赤ん坊の泣き声が聞こえ、真っ赤な手形が窓につ