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#最近の学び

最近読んだ本の話 vol.83

 「最近読んだ本の話」の第83弾です。朝晩冷え込む日が増えてきました。冬が近づいてきたなあ。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、小砂川 チト『家庭用安心坑夫』  主人公の小波が日本橋三越の大理石の柱に、自分の実家にある洋服ダンスに貼った覚えのあるケロケロケロッピのシールを見つけるところから物語は始まります。描写力が新人とは思えません。小波の日常が綴られていると思ったら、「ツトム」という人物が突如あらわれて、小波が幼い頃母親から教えられた父親だというのですが、坑夫の

最近読んだ本の話 vol.42

 「最近読んだ本の話」の第42弾です。急に寒くなって、コート着てもいいぐらいの気温になりました。あと1か月ちょっとで12月になるなんて!1年が経つのが早すぎます。今週も最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、上田 岳弘『旅のない』 コロナ禍中の日々を映す4つのストーリー。 芥川賞作家・上田岳弘、初めての短篇集。 【収録作品】 「悪口」 恋人と過ごすホテルでのゴールデンウィーク。「じゃあ、悪口の練習しよっか?」。僕は初めて彼女と会った時のことを思い出す。 「つくつく法師」 朝

最近読んだ本の話 vol.40

「最近読んだ本の話」の第40弾です。もう10月半ばですが、私の住む地域ではまだ30℃を超える日もあって、暑いです。今週も最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、深水 黎一郎『名画小説』 13の名画に隠された、驚きの謎、恐怖――秘密が明かされた時、あなたは戦慄する。 『最後のトリック』の深水黎一郎が芸術への深い造詣とミステリーを融合させた傑作短編集。                 -Amazonより引用-   名画にまつわる13編の物語です。その絵が描かれた背景などが細

最近読んだ本の話 vol.38

 「最近読んだ本の話」の第38弾です。朝晩は涼しくて過ごしやすくなりましたね。私は寒いのが苦手なので今ぐらいで止まってほしい、と思ったりしますが、四季があった方が楽しいのでやっぱりそのままでいいです。今週も最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、片岡 義男『豆大福と珈琲』 片岡義男には、珈琲がよく似合う。 たしかな文体とスタイリッシュな世界観。 あらゆる小説的企みにみちた「珈琲」をめぐる5つの物語。 息子を連れて地元にひとり戻ってきた幼なじみと、「結婚」をしないまま新しい「

最近読んだ本の話 vol.37

 「最近読んだ本の話」の第37弾です。涼しくなったと思ったらまた暑くなって、でももう秋の空ですね。今週も最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、松家 仁之『泡』 自分の居場所はどこにもない でもひとりでは生きていけない 男子高の二年に上がってまもなく学校に行けなくなった薫は、夏のあいだ、大叔父・兼定のもとで過ごすことに。 兼定は復員後、知り合いもいない土地にひとり移り住み、岡田という青年を雇いつつジャズ喫茶を経営していた。 薫は店を手伝い、言い知れない「過去」を感じさせる大

最近読んだ本の話 vol.36

 「最近読んだ本の話」の第36弾です。夏のような暑さがなくなって過ごしやすい気温になってきました。「読書の秋」ですね。どうして秋に読書なんでしょう?暑さが落ち着いて集中できるからかな?今週も最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、岡崎 琢磨『Butterfly World 最後の六日間』 人型のアバター=バタフライが生息するVR空間〈バタフライワールド〉にログインしたアキは、ログアウトせず現実世界に戻らない者たちが暮らす〈紅招館〉に向かう。 アキはある事情から〈紅招館〉に住

最近読んだ本の話 vol.34

 「最近読んだ本の話」の第34弾です。9月に入ってだいぶ涼しくなりました。昨日、いつの間にか蝉の声が聞こえなくなっていることに気づいて驚きました。もう虫の声しか聞こえません。秋なんですね~。今週も最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、古内 一絵『最高のアフタヌーンティーの作り方』 老舗ホテルで働く涼音は、念願叶って憧れのマーケティング部サービス課、アフタヌーンティーチームに配属された。 喜び勇んで、アフタヌーンティーの新企画を出したものの、パティシエ・達也に「目新しければ

最近読んだ本の話 vol.33

 「最近読んだ本の話」の第33弾です。8月ももうすぐ終わりですね!虫の声が聞こえてきて、稲穂も実ってもう秋が近づいています。今週も最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、G・ガルシア=マルケス『百年の孤独』 蜃気楼の村マコンド。その草創、隆盛、衰退、ついには廃墟と化すまでのめくるめく百年を通じて、村の開拓者一族ブエンディア家の、一人からまた一人へと受け継がれる運命にあった底なしの孤独は、絶望と野望、苦悶と悦楽、現実と幻想、死と生、すなわち人間であることの葛藤をことごとく呑み

最近読んだ本の話 vol.32

 「最近読んだ本の話」の第32弾です。毎日暑かったのに、ここ1週間は涼しい日が続いています。お盆休みは雨が降って家にいる間に終わってしまった。今週も最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、山田 詠美『珠玉の短編』 恋愛、友情、自尊心――人間の欲望の行き着く先は、グロテスクでブラックで愛おしい!主人公の奈美は、孝一と虹子という夫婦と親しくしている。しかし、孝一が出張中の雨の日を境に、三人の関係は歪み始める。川端賞受賞作「生鮮てるてる坊主」や“珠玉”という惹句に取り憑かれてた作

最近読んだ本の話 vol.30

 「最近読んだ本の話」の第30弾です。とうとう30回目になりました。ここまで続けられてよかった。このまま続けられるところまで続けます。今日もすでに30℃を超えていて暑いです。今週も最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、滝口 悠生『長い一日』 小説家の夫と妻は、住み慣れた家からの引っ越しを考え始めた。長いつきあいの友人たちやまわりの人々、日々の暮らしの中でふと抱く静かで深い感情、失って気づく愛着、交錯する記憶。かけがえのない時間を描く、著者4年ぶりの長編小説。 「どこまでも

最近読んだ本の話 vol.27

 「最近読んだ本の話」の第27弾です。もう夏です!梅雨がたぶん今日には明けます!このシリーズも第27弾となりました。このまま8月まで続けられるかな?できる限り続けたいです。今週も最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、遠野 遥『破局』 私を阻むものは、私自身にほかならない――ラグビー、筋トレ、恋とセックス。ふたりの女を行き来する、いびつなキャンパスライフ。28歳の鬼才が放つ、新時代の虚無。           -Amazonより引用-  ずっと気になっていて読みたいと思っ

最近読んだ本の話 vol.26

 「最近読んだ本の話」の第26弾です。今年の梅雨はとても長い。来週とうとう明けるかもしれない。梅雨が明けたらやりたいことがあるわけでもないのですが、待ち遠しいです。今週も最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、原田マハ『〈あの絵〉のまえで』 詩帆17歳の誕生日デートは岡山の「大原美術館」、ピカソ〈鳥籠〉のまえ。それからふたりはいつも一緒だった。けれど、彼は今日旅立つ。 (「窓辺の小鳥たち」) ある少女に導かれるように会社と逆方向の電車に飛び乗った私。箱根「ポーラ美術館」の

最近読んだ本の話 vol.25

 「最近読んだ本の話」の第25弾です。7月になりました。まだ梅雨は開けていませんがもう夏ですね!今年の夏もあんまり出かけられないかもしれなくて、本を読む時間はありそうです。今週も最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、クラリッセ・リスペクトル『星の時』 地方からリオのスラム街にやってきた、コーラとホットドッグが好きな天涯孤独のタイピストは、自分が不幸であることを知らなかった−−。「ブラジルのヴァージニア・ウルフ」による、ある女への大いなる祈りの物語。 23言語で翻訳、世界的

最近読んだ本の話 vol.24

 「最近読んだ本の話」の第24弾です。このシリーズは今年1月から書き始めて、6か月続けられました!毎週更新を月2回更新に変えようかと考えることもありますが、続けられるところまではこのペースでいこう、と今は思っています。とか言いつつ、「今月から月2回にします」と来月になったら言うかもしれませんが…。ギリギリのところなんです。今週も最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、田丸 雅智『ショートショートでひらめく文章教室』 文章を書く、物語を作るって、こんなにも楽しい! 理系出身で