一人マジカルバナナ
「もっちってみんなと一緒にいる時、一人で『もっちタイム』に入っている時間があるよね。」
飲み会の席で突然、友人が言った。
友人いわく、人に不快感を与えているわけではなく、話を全く聞いていないわけでもないけれど、「何かを考えているんだろうな」とわかる表情をしている瞬間があるとのこと。
私は何かひとつの物事が気になると、一人マジカルバナナを脳内で始めている自覚はある。
「明日の朝ご飯」と言ったら「納豆」、「納豆」と言ったら「冷蔵庫に一つしか残ってなかったな」、「冷蔵庫に一つしか残ってなかったな」と言ったら「近所のマイバスに寄らないとな」、「近所のマイバスに寄らないとな」と言ったら「通り道にあるマツキヨにも寄ろうかな」、と一人マジカルバナナを続けている。
一人マジカルバナナは、おそらく私だけではなく、みんなが行なっている自分との対話方法のひとつだろう。(私が勝手に名称を付けた)
スタートのお題が明日の朝ご飯であれば、可愛いものだ。
可愛くないスタートになると、
「今日の◯◯さんの言い方が厳しい」と言ったら「◯◯さん機嫌が悪いのかな」、「◯◯さん機嫌が悪いのかな」と言ったら「私、何かしたかな」、「私、何かしたかな」と言ったら「先にあれをやらなかったからかな」、「先にあれをやらなかったからかな」と言ったら「あの時も、あれをやってなかったぞ」、と一人マジカルバナナが続く。
真偽は定かでない出来事、言ってしまえば、考えても仕方がないことを考えて不安になってしまう。面白くない一人マジカルバナナ。
友人が言っていた「もっちタイム」は、おそらく後者のマジカルバナナを行なっているタイミングだ。
「何かを考えている」は、間違っていない。私はよく何かを考えている。いや、よく「考え事をしている」が近いかもしれない。
「考える」と「考え事」を国語辞典でひいてみた。
①考える/勘えるに、
「2. 関係する事柄や事情について、あれこれと思いをめぐらす」
といった面白くない一人マジカルバナナ要素も含まれているようである。
しかし、
「1. 知識や経験などに基づいて、筋道を立てて頭を働かせる」
「3. 工夫する。工夫してつくり出す」
「4.問いただして事実を明らかにする。取り調べて罰する」
は違う。
やはり、心配要素が含まれる
②考え事
が、面白くない一人マジカルバナナをしている時の思考に近い。
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街を歩いていると、冒頭に出てきた友人ではない別の友人に偶然会った。
「すごく真剣な顔をしていたよ」と言われた。
この時は、「noteに書いてみたい題材が見つかったけれど、どう書いたら読んでくれる人に伝わるだろうか」と考えていた。「考え事」ではなく、「考えること」をしていた瞬間を目撃された。
「もっちタイム」と言った友人、
「すごく真剣な顔」と言った友人。
「考え事」をしていた私、
「考えること」をしていた私。
「考え事」であれ、「考えること」であれ、
一人マジカルバナナをしていた事実に変わりはない。
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