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長野久義がカープにもたらす「4つのシナジー効果」

1月7日昼過ぎ、衝撃的なニュースが入ってきた。

丸佳浩が12月初旬に移籍を発表してから約1か月。
彼の「人的保障」として長野久義が
カープにやってくると発表された。

これほど読売で中心を張っていた男のカープへの入団。
漫画「ドカベン」の微笑三太郎を除いたら
初めてではないだろうか。
(↓ドカベンの微笑三太郎)

そして、ただの実績のあるプレーヤーではない。
読売巨人軍でプレーすることに憧れ
2度プロ入り拒否をした男の加入である。
その彼が
「3連覇中のチームに呼ばれることは選手冥利に尽きる」
発言した。非常に大きい一言だと思う。

彼の加入でもたらされるチームへの影響はその実力だけではない。
そこで長野の加入でカープにもたらされる
4つのシナジー効果について述べたい。

①カープ加入による長野自身へのシナジー効果

過去に首位打者、最多安打を獲得している長野であるが
これまで周りから「天才」と呼ばれるなど
その成績は彼の元々の才能によるところが大きい。
これまで敵軍に所属していたため
ソースが確かかもわからない報道での情報しか知らないが
「本当に練習しない」と聞いたこともある。

そんな抜群のセンスに東出、迎両コーチによる
カープ打撃理論のエッセンスが彼に加わったとき、
どのような爆発力を見せてくれるのか。

過去移籍後に新たな理論を取り入れて
「覚醒」した一番の例として挙げられるのが、
東北楽天時代の山崎武司だろう。

引退の2文字がちらつく年齢が近づいていた彼が
監督の野村克也に「配球を読む打撃」を教わったことで、
39歳にして本塁打王と打点王のWタイトルを獲得した。

2018シーズン後半から成績を回復し始めた長野に
カープの指導力がマッチしたとき、
キャリアハイの活躍が見れる可能性は十分にある。

だが、腰痛など持病も多くもるので猛練習には注意してほしい。

②長野加入による野手陣へのシナジー効果

丸が移籍した今季、外野のスタメンとして名前が挙がるのは
鈴木を筆頭に、野間、松山、下水流、バティスタ、西川らである。
しかし、このうち通期に渡って2季以上結果を成績を残した
といっていいのは鈴木と松山だけであろう。
その鈴木も故障しがちで143試合トータルで出たことはなく
松山も休養を挟みつつ起用される選手である。

中堅手として真っ先に名前が挙がるのは野間だが
厳しいことを言うと、実績は昨年のみであり、
今季の活躍は保証されたものではない。

そうしたとき、レギュラーとして、そしてバックアップとして
長野の存在は非常に大きい。

また、打順においても脚の調子さえ良ければ1番も打てるし、
クリーンナップも打てる。
また、菊池の調子如何では2番を任すことも出来る。
1~5番タイプに田中、野間、西川、松山、安部など
左打者が固まり、右打者も強打者は揃っているが
バティスタや會澤など5番以降で起用したい選手が多かった。
バランスを考えたときも、万能型の長野の加入は大きい。

そして何より、長野のその人間性が
チームをより良い方向へ導くだろう。

新井やブラッド、丸といった精神的支柱が去り、
今年は昨年以上に選手会長の會澤や
松田オーナー直々に引っ張っていくようお達しがあった菊池らに
負荷がかかりかねなかったシーズンである。

そんな時に、盟主・巨人軍で選手会長を務めた男の
存在は非常に大きい。

松田オーナーからも「獲得の一因」と評されたその人柄は
1人の選手の加入以上の意味をカープへもたらす。

③投手陣へのシナジー効果

2018年シーズン、長野は広島戦で3割8厘の打率を残している。
この成績を残したのには、何かしらの理由があるはずだ。
例えば、會澤の左投手のリード時には傾向がある
投手によってはクイックになると癖が出るなど。
いくら長野久義が「天才」といえど、
その辺は理解して打席に入っているはずだ。

そうした敵から見た情報は、実績のない若手を獲得した際には
チームにもたらされない。
長野ほどの実績のある選手を獲得したからこそ、
チームに還元される。

私はもともと4連覇に向けて、投手陣が課題だと思っていたため、
若手の活きのいい投手が欲しいと思っていた。
しかし、獲得できるのはいずれにせよ1人。
であれば、長野がカープの1軍投手陣それぞれに
5%成長する影響をもたらせば
0.05×14人分=0.7人分の投手の補強が出来る。

長野+0.7人分の投手の補強は非常に大きい。

昨日の敵は今日の味方。
投手陣には是非長野を「利用」して、成長へと繋げて欲しい。

④今後FA権を獲得する若鯉達へのシナジー効果

今回こうして丸の人的保障で、本意ではないであろう
広島への移籍が決まった長野。
そんな長野の口から発せられる、「読売巨人軍」の寸評は
如何であろうか。
もちろん長野がカープというチームに馴染めず
カープに「読売の方が良い」と周囲へ漏らす可能性もあるだろう。
だが、そうした場合、きっと今の「カープ家」の皆々は
読売へ良くない印象を抱くのではないか。

また、長野が仮に読売について良くない話をチームにする、
カープの方が良いという話をしたら、
きっとFA権を取得した未来の若鯉達は読売への移籍を
少しでも戸惑うのではないか。

繰り返されてきた歴史を止めなければならない時がある。
それがいまだ。

今回の移籍がその歴史に「終止符」を打つタイミングに
是非なってほしい。

「カープって良い球団だな」
そう思ってもらうためにも3月29日の読売との開幕戦、
万雷の拍手で長野久義を迎え入れたい。
これまでも家族であったかのように。

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