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映画「パラサイト~半地下の家族~」

ポン・ジュノ監督なので心して見なければ。ボー―っと見ていると「痛い目にあう」ことはわかっているので、気を引き締めて鑑賞する。

全員無職のキム一家(父・母・息子・娘)は「半地下」の家で暮らしている。長男が友人から、ITで財を成した家の女子高生の家庭教師のアルバイトを紹介されたことから話は動き出していく。要するに家族全員で「パラサイト(寄生)」していくんですね。

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色んなところで激賞されているが、とにかく対比がすごい。「お金持ち」=「高台」、「貧乏」=「半地下」という対比を「これでもか!」というくらい映像で見せつけてくる。

その中でもキム一家が暮らす家が「地下」ではなく「半地下」というのがこのストーリーの中では重要なポイントとなっており、なぜ「半地下」なのか、それは映画を見てからのお楽しみといった感じでしょうか。

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9割をセットで造ったという本気。お金のかけ方が、素人目に見ても日本映画とは桁違いである。外観のセットがこれまたすごかったが、画像が見つけられず残念……。これだけお金をかけられる韓国映画が正直羨ましい。

こちらはお金持ちの自宅。

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高級家具に加え、清掃が行き届いたスッキリとした空間。イマドキのお金持ち感の描写がすごい。


一方で貧困家庭。

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物がたくさんあって、ごちゃついている。このごちゃつき感、「万引き家族」の時もそうでしたね。生活空間よりトイレが上にあるというのがとても象徴的。


ありきたりな感想ですが、韓国社会が抱える「貧富の差」がテーマとなっており、見応え充分な作品でした。


不満を上げるとすれば、お金持ちの人の描写が貧弱な気がした。

財閥ではなく、ITで財を成した夫は、(お金持ちなので)社会的常識もあり、善良な人であることに意義を見出す「良い人」。その妻はいわゆる「トロフィーワイフ」。(お金持ちなので)美人でおっとりしており、人を疑うことを知らない。家事などあまりできないが、「良い人」。娘は一見、清楚そうだが「性に興味津々」なところがある女子高生。でも、親の言うことをきく「良い子」。弟は不思議ちゃんキャラだけど、本格的に親を困らすようなことはしない「良い子」

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「良い人」の理由の根本が「お金があること」とされていた。しかし、このあたりがもう少し深堀りされていたら、もっと面白かったかもな。

ここからは若干のネタバレです。本編にはあまりというかぼぼ、関係ないですが…。





「水害」のシーンで思い出したのが、「阪神・淡路大震災」。震災後の被害で明らかになったのが、高台にある山の手は被害が少なく、海沿いにある地域は大きな被害が出たこと……。

地理学を専攻する友人が、「地盤などが載っている地図を見れば一目瞭然。地盤の硬さが違う。地価の相場の差が、こんなふうに浮き彫りになるとは」と言っていたことが忘れられない。「貧富の差」という言葉が突きつけられる。どこの国でも同じようなことは起こっている。

「貧富の差」のテーマで思い出すのが、同じく韓国映画の「バーニング 納屋を焼く」。原作は村上春樹の小説です。裕福な男の高級マンションの部屋や車、遊びに行くお店や仲間。田舎で暮らす男の家の部屋、職業、車、服装。上京(上ソウル)してきた女のアパートの部屋や服装があまりにリアル!!

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「パラサイト」が面白かった人はぜひ「バーニング」も見てもらいたい。なにせ主演がユ・アインさまですからね。ふふふ。

#映画 #コラム #映画評 #パラサイト #半地下の家族 #001 #2020年

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