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月曜モカ子の私的モチーフvol.236「快適に生きる」

ようやく冬の土用が明け、節分は何もしなかったけど2月4日に春が立ってから体調がとても良くなった。やはりわたしの肉体は冬の土用の間は冬眠するようにできているらしい。
体調の回復とともに土用の間どこかしらもやんとして「あーでもない、こーでもない」と沈思黙考していたことに「✨💡✨」って感じで答えが出て、
それはまるで数時間掘っていたあちこちの土からようやく翡翠色をした土器が出現したような感じ、その土器(実際は形のない想念のようなもの)を触ってわたしは2022年を、そうだな「いかに快適に生きるか」にメンションしようと思った。決意した!とかでなくそこに自然と定まった感じ。

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きっかけは体重で、それが全然減らないことだったんだけど、
こう、自分の人生のバイオリズムとしては基本的にはストイックが向かない性格なので、ダイエットとかも「もうどうでもいい!」とかなった途端に突然痩せていくタイプ。あと世界を旅したり好きなことに邁進している時は食べることを忘れていつまでもやっているのでそういう時も痩せる。
つまり人生が上昇している時はわたしは総じて食べても食べても痩せていくんであって——まあ人生が上昇するときというのが人生にしょっちゅうあるわけじゃないから基本的には痩せてないが 笑——
それにしては2021年全然痩せなかったことが気になった。
レディオも作品撮りも引越しも執筆もお店も、基本的に楽しいこと好きなことを息もできないほどに隙間なく詰め込んだ1年だったのに。

それでまずこう思った。
わたしはこの3年ちょっと頑張りすぎていたのではないか?
自分は余白や思考ののりしろが欲しいタイプで暇を暇と思わないタイプである。むしろ何もすることがなく数時間ただぼんやりしている時間に、わたしの脳内CPUがわたしの心技体をあるべき形に整えてくれるのでそういう時間は何時間でも欲しい。加えてわたしはアーカイヴ女子だから、いろんなことをあるべきところにきちんとアーカイヴする時間が欲しい。

だけど去年は「店が閉まっている今のうちにやらないと来年からはとてもできない!!!」っていう創作表現面の大きなチャンス(飲食店的にはピンチ)が到来していたので、そこんとこは無理に無理を押して詰め込んだ。
うーんこれがきっとコンフォータボー(快適)ではなかったのだわ。

それでもう今年は一切何も頑張らない、と思った。

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そして「頑張らない」で「快適」でいられる暮らしをとことん追求しようと思った。そして導き出したのが以下の感じである。

○ 仕事が滞るような分量の仕事をしない。
 →溜まれば溜まるほど快適じゃなくなるし時間が圧迫されるから。

○ 頑張らないためには日々をコンスタントに進行する必要がある。
 →つまり毎日のやることがさほどなく、余った時間でゆったりできるよう    
       なスケジュールにするには持ち越す仕事を増やさないための工夫がいる

○ 清掃や掃除や整理整頓をなるべく毎日する。
 →掃除や整頓は「溜まるから大変だし、溜まるから快適じゃない」という       のがあるから。

○ なるべく不要なものを捨てる。

○ 店を綺麗に保つことを最優先にする。
 → 自分の店が汚いことが世界で最もわたしの気分を損なうと実感したか      ら。さらにそれを誰かに指摘されてしまったりするのは「1に掃除、2に 
  掃除」で育ってきた飲食叩き上げの自分としてはもっともキツイ。
  わたしの中で掃除ができない店というのは経営能力が無い店という意味  
  だから。

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(↑栞不在の間、ここに焙煎機を置くことで象徴的に栞を表現してみる。
二十五歳の中島桃果子展の時に飾られた脱ぎっぱなしのジーンズと靴下のように)

特に去年1年、お店のことは来年もできるからといろんなことに目をつぶって、とにかく小説とレディオをと進めてきたそのことが、振り返って一年前に戻っても同じ選択をするんだけど、自分はそれでおざなりになっていく自分の店が、すごく嫌だったみたいだ。
だけど幸いなことにこのストレスは今日からも自分の手で払拭できる。

同時に汚い店にイライラする気持ち、というのはGENIUS時代の総支配人の教えや芋洗スナック坂のれいこさんが口酸っぱく叱りながら教えてもらったおかげであり「わたしはあんなに手入れが行き届いていた店で働いていたのに」という誇りから来るものであるのだなと思って、だったら今年これはとことん栞にも伝授しようと思った。
自主性が重んじられる時代だから、教えるというよりは当人の発見を待つ、という教育方針で来たんだけど、嫌がられても嫌われても、綺麗な店を保つことを教えることは絶対にいつか栞の財産になるのであるから(だって綺麗な店より汚い店がいいっていう人はいないでしょう。小綺麗な店より小汚い店がいいというのは雰囲気の話で清掃の話ではないんだから)

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つまり今年どんな年にしたいかと言われると「断捨離と清掃と安心と快適の年」にしたいということ。これはでもある意味足元を見つめ直すということで、先の見えない2022年に今日からも始められることでいいなと思った。

飲食店ではお客さんがいない時はとにかく掃除をするように習うのですが(わたしが働いてきたとこはどこも繁盛店で、皆そうだった)、
その考えって好き。つまりこの場所からしか何も変えられないんだっていう感じが。そんな暇あったら扉の外へ出て誰か連れてこいって考えもあると思うんだけど、今日とことん綺麗にしておいたら明日の清掃は少し楽なわけで、つまり看板をどこに置いたら効果的か沈思黙考する時間も取れる、わたしはそういう考え。戦略というのは「今日お客さんいない」という突発的な事象の中で突然それに意識を向けてもあまり意味がない気がして、だけどシンクを洗ったり床やボトルを拭いたりすることは、突発的にやっても問題がない気がする。そう考えていくと、去年は開ける日が限られていたから、その日にお客さんが集中して隅々まで掃除ができなかったり、イレギュラーなことが多く、大事な経営判断をしないといけない場面が多くあったから、
営業内の隙間も、ボトルを拭かずに思考していたような気がするな。
でも今年はその優先順位を変更しよう。

あとわたしは合理的なことがこう見えて好きなので店の備品を重複して買ったり、探したときに出てこなくてどうでもいい時に「なんだここにあったじゃん!」みたいなのもとても嫌い。それを解消するためにもやはりこまめな整頓が必要なんだよな。人は忘却の生き物だから。

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ただ、これらのことを遂行するには、2021年に溜めたまま年越ししてしまった税務作業やアーカイヴものが大変なネックとなっていたので、
この土用期間にそれらをシクシクと片付けられたのは大変スカッとする出来事だった。お店も見た目は依然ごちゃごちゃしてるが日に日に綺麗になり「そう、これでこそあたしの店だよ!」って感じになってきた。

一応書いておきますがうちの栞は去年わたしが店の業務の一切合切を栞に丸投げしたんで、ここまで手が回らなかったんです。なにせ自身の事業(焙煎とか喫茶営業を抱えながら夜のこともしてくれていたのでね)

そしてとうとう先週末からは優先順位でいうといつも最下位になる自宅に取りかかれた。カバー写真の「YONAYONAエール」の奥に綺麗に並んだマグカップが映ってると思うのだけど、新しい棚を買って珈琲ものを全部まとめたンダ!どうしても居候が栞で、店のことを共有できてしまうので、互いに「家がぐちゃぐちゃでも許し合おう」という感じになってしまい互いに甘くなるので、通常のルームシェアとは違ってくるんだよね。

なので今年は自宅も綺麗にしていく。
狭いバスルームを快適に使えるよういろんなものを買って設置したら、本当に気分が高揚し、喜びが溢れてきた。そっかわたしは「快適な暮らし」を求めていたんだ。

快適な暮らし、それは豊かな暮らしである。

そこには「安全」が必要だなと思って、わたしには珍しく備蓄も始めることにした。

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物資豊かな都会に住み続けていたのでトイレットペーパーも最後の1個になってから下のコンビニに買いに行くような暮らしを長年してきたけど、
2年前肺炎で入院し、退院した日にちょうど切らしたマスクを買おうとしたらもうマスクがなかったという出来事や2020年のトイレットペーパー騒動、
それに加えて輸入モノのお酒の欠品が増えたり、価格の高騰が増えたりして「ああこれは少し持っておかなくてはならないな」と実感した。
いくら掃除を綺麗にして、いくら誰かを呼び込んでも売る酒がなかったら話にならない。それをベースに「これがないと商いにならないもの」はある程度多めに持っておこうと考えた。これは不整脈の発作を長く持っていてそのせいで刹那的な生き様になっていたわたしには画期的な感覚だった。
まだ10年単位で考えられないけど、もしもこの流通が今日パタンと無くなっても向こう半年くらいは困らないように持っておこうか。

備蓄慣れしていないのでそこはまだ試行錯誤中。
どうせ売るんだしこれまでも売ってきたし腐らないのにグレンリベットやら酒瓶いくつかまとめて10万円くらい買い込んだだけでヒヤヒヤしちゃう。笑。(在庫がふんだんにあるものから買ってるし数本ずつだから買い占めじゃないよ!)

まあそんなわけで今年の目標は「頑張らないで快適に過ごすために全力で日々を工夫する」こんな感じかな。

宵巴里を売り切る! とか レディオをここまで広げる!!とか、
頑張っても数字が付いてくるかは神のみぞ知るって感じのことに挑むより、

とっても心が楽ちんです。笑。

備蓄して掃除して断捨離して整頓して暮らしてたらいいんだからね。笑。

できそう。笑。

以上、土用の間に心の土いじりをして出てきた翡翠色の土器の話でした。
(心の土だから土用の間にいじってもいいのだ!)

↑長い冬季Q暇を終え、今週のレディオから、
我々メインロードに戻って参りました!

失われた何かを必死に取り戻すべく身の丈以上のことだって全部やるって感じで頑張り続けた3年を終え、身の丈以上のことは一切やらない2022年へ。
じゃないと頑張り疲れちゃう。
立ち止まったら、そこで試合終了だからね。笑。
今年はダラッダラ、歩いていく。

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      <モチーフvol.236「快適に生きる」2022.2.07>

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☆モチーフとは動機、理由、主題という意味のフランス語の単語です。
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長く絶版になっていたわたしのデビュー作「蝶番」と2012年の渾身作「誰かJuneを知らないか」がこの度、幻冬舎から電子出版されました!わたしの文章面白いなと思ってくれた方はぜひそちらを読んでいただけたら嬉しいの極みでございます!