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読書 ファーストラヴ 感想

父親殺害容疑のアナウンサー志望の女子大生、美人すぎる殺人者。彼女の国選弁護士。ノンフィクションで、執筆を勧められる臨床心理士。裁判と取材の両面で探っていくと、彼女に関わる人々の過去も浮き上がってくるミステリーなんだけど、恋愛小説。

読後は、ナラタージュを思い出した。
ナラタージュは、20代女子に3人恋愛小説でおすすめした事があって、反応が凄く良かった思い出があります。(私、本のおすすめした事殆ど無いので、コレってすごいレアな現象なんです)

ファーストラヴは、社会派ミステリーであるのに、恋愛小説でもある感じです。

「精神的な不安定さって年齢を重ねても残るっていうか、それは家庭環境が大きいものですよね。大人なんだから親は関係ないって、どこまで言い切れて、どこまでが社会が認めて考慮すべきものなのかなって」辻さんが由紀に尋ねる。

この答えはある意味、判決に表われる事なのだけれど、読んでいると登場人物の過去に触れて想像する気持ちに引きずられていく。

愛情は尊重と尊敬と信頼だと思っているのに、時代、教育、個人的な資質で、信じる基準が変わるから母と娘で愛情を確認しあう事がうまく出来ない不安定さ。

島本理生の本は、こんな時こんな気持ちになると言う驚きに満ちたからくり屋敷の様な小説と朝井リョウさんは評価していた。

傷を舐め合い慰めになる人ではなく、一緒にいて幸せが実感出来る人を選べた由紀で良かった。

読み終わって直木賞を取った作品だと知り、納得。350頁より濃い読み応えがあり、おすすめする機会をもらえたら、恋愛小説でコレ勧めちゃうなぁ
おーいナラタージュ、共に島本理生作品なのでね…



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