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鹿の骨[詩]

 夕方 川沿いの砂利を歩いて骨を拾った
 シカの骨に違いないと思った
   シカの骨だね
 川の音で掻き消えているのに
 あなたがそう言ったのがはっきりと分かった
 私はうなずいて骨を遠くに放った
 夕の川沿いの薄闇の中 骨はゆるく弧を描いて川底に沈んだ

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