再会よりずっと前の話
難しい話で疲れたので、私たちについて書いてみる。そんなのどうでもいいから妊活の話しろ!って方は飛ばしてくださいませ。
この記録、最初から読んでくださった方はお気づきの通りしれっと私とナチコが再会したところからはじまってるのよ。私たちのことを知らない人が抱いたであろう「再会?」という疑問を置いたまま話がここまで進んじまった。今回はそこのところきちんと振り返ります。
そもそも私たちの出会いについてわざわざ書かなかったのは、そこにラブを感じる予感もロマンティックな展開もなかったからです。
私が地元を離れて上京してきたのは一浪の末合格した大学への入学がきっかけでした。家を出るついでに母へのカミングアウトを済ませてしまった私はそれまでこの胸に秘めてきた「おレズな自分」を解き放ち、クローズしてきた反動からとにかく弾けました。それはもう、盛大に。ショートヘアを真っ赤に染め、黒い服ばかり身につけて中性的な容姿を目指した。Twitterで出会った3歳年上の彼女と定期的に会いつつ、掲示板で知り合ったお姉さんに二丁目を案内してもらう日々。居心地のいいバーを見つけてからはひとりで通うようになり、長期休みはほとんど毎晩そこで飲んだくれました。
家賃以外は自分で働いて生計を立てていたので、睡眠時間なんてほとんどありません。バイトして、学校へ行ったあと二丁目へ。始発でそのまま登校し、学校で寝て、授業が終わったらまたバイト。よく倒れなかったものだと思うけど、毎日の楽しさに疲れが勝ってたのです…
そんな不健康な生活が続く中、友人から誘われた"女子会"の席で私とナチコは出会いました。
女子会なんてのは外から見た形の名前で、実際はレズのオフ会。つまり、SNS上で繋がった女が好きな(もしくは女も好きな)女たちが集まって飲みつつ食べつつ出会う会。よくある話です。
そのオフ会はそれが何度目かの開催で、過去に知り合った顔見知りもちらほら。
その日はときどきふたりでも飲みに行く友人がいて、開始から予想はしていましたがやはり終盤は彼女とのサシ飲み状態になりました。オフ会なんてこんなもんです。何度か顔を出すと知り合いができて、結局気楽な相手と楽しく話して解散になる。出会いもないわけじゃないけど、その場限りで終わることがほとんど。
そのことを愚痴るのにも飽き、お互いの学校に話題が差し掛かったところで突然割り込んできたのがナチコでした。彼女は自分も建築学科生だと自己紹介し、向かいに座っている友人とも顔見知りであることがわかって、そのままなんとなく3人で飲む形に。
正直何を話したのか全く覚えていません。楽しかったことは確かなのですが、思い出と言えるほどの記憶がない。
それはお酒を飲んでいたこともあるけど、私たち3人が同類だったことが大きな原因でしょう。つまり中性的な見た目のタチ同士、お互い食えない相手だったから恋愛に発展する可能性は見当たらなかったのです。だからこそ別れ際にふと話題に上がったダーツに素直な興味を示せたし、その場で「今度一緒にやりに行こうよ!」と気軽に約束できました。
後日連絡をくれたナチコとダーツバーへ行ったのですが、ふざけ半分なせいでたいして上達しないまま、お互い当時の彼女の話をしたりしてあっさり別れました。
で、そこから2年が経ちこのマガジンの最初の記事に繋がったわけです。ちなみに再会のきっかけになったオフ会、これ実はさとこさんが経営しているお店が主催していたもの。お分かりいただけるだろうか、なるべくして妊活に行き着いたこの感じ…。
2年前はなんの予兆もなかったし、私の方は「長く付き合いができそうな子だな」と思いはしたけど、なんせ当時の私たちはお互い学生です。特定の彼女がいれば会う理由も特にないのでそのまま疎遠になるのは自然な流れでした。
ただ、今になって思うとあれがなければ2年後に出会っても交わることはなかったし、あのとき関係が続いてもどこかで別れてしまっていたような気がしています。それはナチコも同じだそうです。
他人として過ごした2年間がそれぞれを育ててくれたから、あの時はまだ見えないほど遠い場所にあったフラグをへし折ることなく回収できた。
いや、回収してしまった!ってのがお互いの本音かな。
あの女が今自分と同じ空間で生活して、ふたりで母になる計画を立てるなんてねぇ。何が起きるかわからんものです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?