話を聴く経験が不足する理由

「LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる」を読んで印象に残ったこエッセンスと感じたことをご紹介します。

私たちは話を聴くことを学んでおらず、自分の話を聴いてもらう経験も不足してるとのこと。人前でプレゼンをすることや、話をすることが上手かどうかは学んできているというのに、という内容がありました。

日本では、小さい頃から大人の話を聴く機会が多い環境ですが、何を伝えようとしているのかを集中しているかというと、そうでもないかもしれません。また、1対1で話を聴いてもらう機会はありますが、自分の話をじっくり聞いてもらえた実感はあまりないものです。相手のアドバイスや多かったり、話の途中で相手の話にすり替わってしまったりすることもありますね。

ビジネスの場では、上司と部下との定期的なミーティングである「1on1(ワンオンワン)」の導入も進みましたが、部下の話を聴く場というよりも、上司が一方的に話す場になっているケースも見られます。

参考:伊藤羊一さん「1on1ミーティング。一番大事なことをお話します

公的機関で大勢のキャリアカウンセラーと一緒に仕事をした際に、見聞きしたクレームは「話を聴いてもらえず、一方的にアドバイスされた」というものでした。

そのような背景を考えてみると、相手の話をじっくり聴くことは「負け」のように思われていたかもしれません。話を聴いてしまったら、同意しなくてはいけない、という先入観があったのかもしれません。そんなことはなかったのに。

話を聴くことで「知性豊かで創造力がある人になる」というメッセージは、デジタルが進んだ今の時代だからこそ、考えさせられる事柄でした。聴くことや対話から生まれる気づきやエネルギーは素晴らしいものです。仕事柄、聴く力をさらに磨いていきたいと思います。