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『友人の本棚~1分で読める感想文~』Vol.66「カエルの楽園2020」

友人の本棚に、新書があった。思わず手に取る。

新型コロナウィルスに迷走する日本の政治やメディアを「寓話」という形で痛烈に皮肉った、百田さんらしい作品。今のところ防戦一方な未知の敵(ウィルス)との戦いに、これからどう挑むべきか。最後に著者が考えた「バッド」「リアル」「グッド」という三通りの結末(エンディング)が描かれているけれど、果たして……。

「誰だって病気は怖い。ウシガエルの沼の噂を聞いたら、そんなことがナパージュでは怒らないようにと願うだろう。いや、起こってほしくはないと思うんだ。そしていつのまにか、起こるはずがないと思ってしまうんだ。それで、仮に病気が入ってきても、たいしたことにはならないだろうと思い込んでしまうというわけだ」
 ソクラテスは心の中で、うーん、と唸りました。言われてみれば、そうかもしれないと思ったのです。というのも、自分たちもいつのまにかそんなにひどいことにはならないだろうと思い込んでいたからです。しかしよく考えてみると、そうであってほしいと願っていただけのような気もしてきました。

祈りは願いになり、願いは想いになり、想いは自信になり、自信は確信になる。そうあって欲しいと思うものが、いつのまにはそうに違いないと思ってしまう。希望的観測がそれと気づくころには、もはや手遅れに。少なくとも今のこの状況は、起こるべくして起こってしまったのかもしれないと、カエルの世界を見て思った。

一番問題なのは、「これからどうすべきか」を示せていないことだ。なぜこうなってしまったかの検証は、あとでもいい。今は「これから何を犠牲にするか」という問いを投げかけられている。絶対的な正解なんてそもそもないのだから、期待したいのは「リーダーシップ」だ。とはいえ、もう今さらそれは難しいと思うので、結局のところ自分の身は自分で守るしかないのだろうし、僕は僕が救える範囲の人を救うしかないのだろう。

頑張ります。頑張りましょう。

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