見出し画像

『友人の本棚~1分で読める感想文~』Vol.67「それをお金で買いますか」

少し前に「世界は贈与でできている」という本を読んで、その感想文を書いた。

その中で、気になる本の引用があったので、その場で購入。そして先ほど手元に届いたので、早速読んだ。だから、友人の本棚ではなく、メルカリの本棚ということになりそうだけど、そこはどうか許してください。

ハーバード大学教授のマイケル・サンデル氏によるベストセラー『これからの「正義」の話をしよう』の続編。続編、とか書きながらも前作を読んでいないことには敢えて触れないことにしたい。

引用は示唆に富むある実験より。

ある高校生を三つのグループに分けた。第一グループは、寄付の目的の重要性を説く短い激励のスピーチを聞かされ、送り出された。第二、第三グループも同じ激励のスピーチを聞かされたが、同時に、集めた金額に応じて金銭的報酬を出すとも告げられた。それぞれ1%と10%という歩合だった。報酬は慈善の寄付から差し引かれるのではなく、別の財源から提供されることになっていた。
 どのグループの生徒が、最も多くの寄付を集めたと思うだろうか。無報酬のグループだろうと思ったなら、正解だ。無報酬の生徒は、1%の歩合を提示された生徒より、55%多い寄付を集めた。10%の歩合を提示された生徒は、1%のグループよりかなり好成績だったが、まったく無報酬の生徒とくらべるとだいぶ少なかった(無報酬のボランティアは歩合の高いグループより9%多く集めた)。

お金を目的にした瞬間に、行動する目的が変わってしまったことを示すデータになっている。この事例以外にもいくつかあって、お金をインセンティブとした瞬間に、返って支持率が下がるということが起こることもあるらしい。

ノーベル賞も、オリンピックの金メダルも、お金で買えるとなるとそこに魅力は感じない。なんでもお金で解決しようとすると、時に反発心を煽る結果にもなる。どうやらお金というものは便利であることは間違いないけれど、万能であるとも言えないもののようだ。じゃあお金っていったい何だろう。

僕はもっともっとその答えにたどり着くために、お金を稼ぎたいと思います。とりあえずどなたか僕に、お金をください。

この記事が参加している募集

読書感想文

よろしければサポートをお願い致します! いただいた金額は活動費にさせていただきます!