見出し画像

『友人の本棚~1分で読める感想文~』Vol.3「劇場」

おはようございます。今日も良い1日を。

テンプレをなぞりながら始めるスタイルで第3弾の感想文を書いてみたいと思います。

「劇場」を読みました。

売れない劇作家の元に舞い降りた一人の天使。その彼女との恋愛模様と、それを取り巻く人間たちの心の葛藤。

特に最後の2ページを読んだ時には自然と涙が溢れてきて、僕の中では早くも芥川賞を取った処女作の「火花」を読みたい気持ちでいっぱいです。
(#普通そっち先じゃね?)

ということで、本書で心に残った1個所を引用します。


物語の力というのは、現実に対抗し得る力であり、そのまま世界を想像する力でもある。
演劇は実験であると同時に発見でもある。演劇で実現できたことは現実でも再現できる可能性がある。
どこかで犬が吠えている。この犬の鳴き声にはなんの意味もないけれど演劇において意味のない犬の鳴き声というものは存在しない。犬が鳴くからには、そこになにかしらの根拠が必要になる。意味のない遠吠えは、意味がないという効果を生み出している。ということは、今現実に聞いている犬の遠吠えは演劇を経由することによって僕にとっても意味を持ってしまっている。これも演劇の力と言えるのではないか。

僕らが生きているこの世界を「劇場」だと捉えると、全てのものごとに意味が生まれる。

「人生とは自分を主人公とした舞台である」と、アメリカの有名な俳優が言いそうな名言的なものを咄嗟に挟みたくなりましたが、確かに僕らはみな物語の中を生きているのだと考えれば、現実世界でもこれから起こる自分の未来を創作し、そしてそれを再現できるのではないか? という勇気がわいてくるような気がしました。

もしも、これからの人生の脚本の続きを一人ひとりが自分の手で、想像力を使って、自由に創作をすることができるとしたら。

今、コロナ軍曹に世界が苦戦を強いられておりますが、これからの物語の結末も、この感想文の落としどころも、全ては書き手にゆだねられているのだなと思えば、「現実に対抗し得る力であり、そのまま世界を想像する力でもある」物語の力(創作の力)というものは、ぜひとも磨いておきたい力だなと、改めて感じた次第です。

公開が延期されてしまった映画版にも期待したいところです。
はよコロナよ、静まれ!

#劇場
#又吉直樹

この記事が参加している募集

よろしければサポートをお願い致します! いただいた金額は活動費にさせていただきます!