「書く才能」とは、AIを超える〇〇力
今週、関西大学梅田キャンパス内にあるスタートアップカフェで、佐渡島庸平さんと対談イベントをしてきた。
X(旧ツイッター)でのイベント告知に、こんなことを書いた。
誇張でもなく、かなりドSである。今日は、そのイベントで話した”告発”部分について書こうと思う。
昨年10月に出版した「きみのお金は誰のため」の執筆にあたって、この佐渡島さんには大変お世話になった。
告発に入る前に、誤解ないように説明しておくと、佐渡島さんに編集協力してもらったのはこの本の小説部分である。ビジネス書としての内容や本全体については、東洋経済社の桑原さんに大変お世話になった。桑原さんについてはまた別の機会にご紹介したいと思っている。
(ちなみに桑原さんの作った本が総合グランプリを受賞するのは、なんと2回目。そんな人は日本中に桑原さんしかいない)
さて、告発である。
本書の原稿は発売の10ヶ月ほど前、昨年末に一度完成していたのだ。
東洋経済の担当編集者である桑原さんにもさんざん直してもらい、ゲラを刷る直前まできていた。最後に文芸小説の編集もされている佐渡島さんに見てもらい、小説の細かいところをブラッシュアップしようと思ったのだ。原稿のリンクをつけて佐渡島さんにメッセージを送る。
(彼とのやりとりは、ほぼすべてメッセンジャーのチャットである)
それに対して、こんな返信が返ってきた。
「マンガ専科」とは、コルクラボマンガ専科という彼の主宰するマンガ塾のことで、僕はそこでストーリーの書き方などを学んだ。
どんな物語も8幕に分けることができて、それぞれでどんなことを伝えているのかを聞かれたのだ。
8幕の構成を伝えたところ、そこがすでに弱いから、八幕構成を考え直せといわれたのである。
もちろん、八幕構成が変われば、ストーリーも変わる。
つまり、全文書き直しを宣言されたのである。
これが2022年の12月30日の話。暗澹たる気持ちで2023年を迎えた。
そこから、八幕構成を何度も書き直すのだが、何度直してもいい返事が返ってこない。ようやくOKが出たのは一週間後。
そこから第1話を書き始めるのだが、これも繰り返し繰り返し直し続ける日々。
1月も最終日になったとき、ようやくこんな返事を受け取る。
ようやく褒められたが、このまま第2話にすすんでいいのだろうか。
おそるおそる聞いてみる。
次に行っていいけど、まだまだ直せるということである。
こんな感じで、進んでは直し、戻っては直すという日々。
そして、物語の中盤に執筆が差し掛かった3月、
突如、こんなメッセージを受け取った。
面白い試みである。
チャットGPTに、この物語のコピーも考えてもらおうという話になり、試行錯誤の末、「社会に隠された真実に気づけ!」というコピーに辿り着いた。
そこで彼は、恐ろしいことを言ってきたのである。
「あらすじを作りにいってみるといいかな」
。。。
は?
な、何を言ってるんだ、この人は。。。
これだけ書き直しているのに、あらすじを考えるだと。
一事が万事、こんな感じである。最終的に完成したのは8月に入ってからだった。1日10時間は、書いているか考えているかしていたから、修正(といっても全直しだが)だけで、2500時間は使っている。全体では4000時間は使っているだろう。
ビジネス書を出す人に言われることがある。
「本書くのって、すごい大変ですよね。ライターさんから、たっぷり2時間の取材を10回以上受けましたから」
いや、それは書いていないし、大変じゃないぞ。取材以外に話す内容を考える時間もあるだろうが、せいぜい40時間だろう。
100分の1だぞと、言いたい。
今回の対談で佐渡島さんが言っていたが、「書く才能」というのは、「書き直し続ける能力」のことだそうだ。
小説を書けない人は、書き直し続けることができないそうだ。
そう言われてみると、「書く才能」が僕にあるとは思えないが、「書き直し続ける能力」ならあるとおもう。
「書き直したら、もっとよくなりますよ」と幾度となく佐渡島さんに言われたが、疑う余地がなかった。とくに僕なんかは文章を書くようになって日が浅いから、伸び代もあるだろうと思うのだ。
それに、「直すのをやめる」と「もう一度直す」という2択があって、自分が上手い文章を書きたいなら、「もう一度直す」道を選んだ方がいいに決まっている。
佐渡島さんは、最近、AIをつかってマンガを描くことに挑戦しているそうだ。相手がAIなら、何度も書き直しをお願いできると思ったそうだが、
ついにAIにも断られたらしい。
「私ができることには限界があるので、人間に頼んだ方がいいですよ」と。
佐渡島さんをドSだと言ったが、それに応じたぼくはAIを超えるドMなのかもしれない。
これから下は、先週の振り返り。活動日誌です。
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