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今さら聞けないお金の話②ー日銀が利上げしたら生活はどう変わるのか?ー

先週、大谷翔平と同じくらいニュースに取り上げられたのは、日銀(日本銀行)が長期金利を上げるという話だ。
とはいえ、どんな影響があるのかイメージしにくいのではないだろうか。
東京三菱銀行がATM手数料を上げることのように、直接的な影響を与えるわけではないからだ。

日銀の上げる金利とは?

日本銀行を使っているのは、日本政府や日本の銀行たち。
僕たちが東京三菱銀行にお金を預けたり借りたりするように、東京三菱銀行は日本銀行からお金を預けたり、お金を借りたりしている。
個人の預金をたくさん持っている東京三菱銀行が日本銀行からお金を借りるなんてあるのか、と思うかもしれない。しかし、東京三菱銀行は預かったお金を金庫に寝かしているわけではなく、たとえばトヨタに貸していたりする。

ある日、僕ら預金者が多めにお金を引き出したとしても、トヨタに「すぐにお金を返して」と言えるはずがない。そんなときに、日本銀行から1日だけお金を借りるのだ。
次の日に、預金が増えれば日本銀行に返せばいいし、増えなければもう1日借りる。

日本銀行が本来コントロールしているのは、この1日だけの金利。この金利を上げようか、下げようかを決めているのが、1、2ヶ月に一回開かれている日本銀行の政策決定会合だ。
アメリカが昨年から利上げしているのはこの1日だけの金利で、5.25−5.5%にまで引き上げている。一方、日本は長年この1日の金利を0%または-0.1%で据え置いている。

長年変えていない1日の金利を上げることにはまだ抵抗があり、まず日銀は10年の国債金利を上げようとしている。ざっくり言うと日本政府が10年お金を借りる金利のことだ。

この10年金利も上げたくなかったのだが、市場からのカツアゲにあってしまったのは、昨年末の記事で書いた通り。そのときに書いたように、今度は1%なであげることを市場に要求されたのだ。

この金利を上げると、円安にストップがかかって物価高が止められると言われている。

金利を上げるメリット1:円安を食い止める

昨年から物価高が続いているのは誰もが実感している。物価が上がっているのに給料が上がらないのは、物価高の中心が輸入品だからだ。物価が上がっても日本の会社の利益が増えるわけではない。(便乗値上げはあるおかもしれないが)

たとえば、トーストを一枚食べるにしても、ほとんどが輸入に頼っている。小麦は外国からの輸入だし、運んでくる船や車の燃料も、トースターを動かす電気(日本の発電の大半は石油による火力発電)も外国からの輸入だ。
石油が10ドルから20ドルに上がると同時に、1ドルが110円から140円にあがると、石油の購入費用は1100円から、2800円に上がる。2.5倍だ。

石油を20ドルに戻すことはできないが、10年の金利を上げると、1ドルを140円から130円に戻せるかもしれない。
なぜ日本円の金利がドルに関係あるのか?ここが今日一番の話の肝だ。
デパートの商品券で説明してみようと思う。

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半径1mのお金と経済の話

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