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あ~おもしろかった!と思える読書体験をするなら、読むべきは「本屋大賞」

春。全国の書店で大々々々大規模に展開される「本屋大賞」のコーナー。大賞をはじめとするノミネート作品の順位が発表されると、たちまち書店のメインコーナーは本屋大賞一色になる。本屋大賞を詳しく知らない人が見たら、まじで何事?となると思う。

私は本が好きでよく書店には通っていたが、書店員のはしくれになるまでは詳しく知らず、出版社が激推ししている本のフェア的なものだと思い込んでいた。めちゃくちゃ恥ずかしい…

本屋大賞とは、文学の賞レースのなかでは歴史は浅いが、出版業界にかかわる人々のかける熱量が熱い。熱すぎる。出版業界への影響度も高い。そして何より、私たち読者との距離が近い。めちゃくちゃちゃんとした要チェックな賞なのである。


書店員が売れる本を作る「本屋大賞」


本が売れない時代と言われるなかで、本と読者の間にいる書店員が、売れる本を作っていく、出版業界に新しい流れをつくることを目的として発案された賞で、新刊書の書店で働く書店員の投票のみで決定する。

(参考:「全国書店員が選んだいちばん! 売りたい本本屋大賞」とは

毎年12月に投票がスタートされ、一次投票でノミネート作品の10作品が選出される。(その頃書店にノミネート作品が並び始める)そのなかから二次投票を経て、順位が決定。発表会後にはすぐさま本屋大賞受賞作のコーナーが展開される。

有名な文学賞として、直木賞や芥川賞などがあり、受賞のニュースも報じられ、書店にも大きく展開される。しかし、純文学や超大作であることから、本好き以外の人が気軽に手に取ることは少ないかもしれない。

その点、本屋大賞は選考員が文学の専門家ではなく、書店員であることから、読者に近い目線で比較的読みやすい作品が選出されている印象である。


本屋大賞の選考基準とは


選考員である書店員が「面白かった」、「お客様にも薦めたい」、「自分の店で売りたい」という基準で投票作品を選定している。

全国の書店で働く書店員が投票することができ、一次投票で1人3作品に投票し、集計の結果、10作品がノミネート作品として発表される。その後、二次投票が行なわれ、大賞受賞作品が決定する。

日々、書店という出版業界の最前線に立ち、読者に本を売る書店員。本と読者をつなぐ存在だからこそ、どんな人が読んでもおもしろいに決まっている、読書が好きになれるような作品が選出されている


これまでの大賞受賞作がすごい!


「博士の愛した数式」、「東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜」、「告白」、「謎解きはディナーのあとで」、「舟を編む」、「そして、バトンは渡された」、「流浪の月」などなど…

これまでの大賞受賞作は、読んだことはなくともタイトルは知っている作品ばかり。つまり、大ヒットした作品ばかりなのである。

私としても、ほぼすべて読んだことがあり、いまでも何となくストーリーの概要が思い浮かぶような、印象に残っている作品ばかりである。

大賞発表時に爆発的に売れ、その後、映像化などのメディアミックスされる際に、また売れる。

書店は図書館ではないから、本を並べているだけじゃ成り立たない。本当に良いものを「本屋大賞」というかたちでおすすめして、売れる本にしていく。

「本屋大賞=売れる本」という、売れるための仕組みが完全に確立された、出版業界にとって大きな文学賞であることがわかる。


おもしろい本を読みたいなら、本屋大賞をチェックしとけば間違いない



私がこれまで本屋大賞受賞作品を読んだときの感想は、「あ~おもしろかった!一気に読んじゃった!」である。

芥川賞受賞作を読んだときの、「う~ん、難解だったけれど、何とか理解できた気がする…」と、文学とは何たるかが分かったような分かってないような感覚になることはなく、直木賞受賞作を読んだときの、「結構ボリュームあったけど、なんとか読み切った…達成感すごい!」みたいな感想とも違う。(本好きとしてはこの感覚の読書も大好き。)

「え!おもしろい!気づいたらここまで読んじゃった!え!読み切っちゃった!おもしろかった~!」という非常に気持ちいい爽快感を感じ、読書を終えられる。

最近の受賞作で重めなテーマの作品もあり、内容的に考えさせられるものもあるが、そんな作品でも、文章が読み進めやすく、とにかく先に先に進みたくなる、続きを読みたくなる作品が多い印象である。

普段あまり本を読まないけど、面白い本なら読んでみたいという人がまず読んでほしい本。読書にはまる人のきっかけになりえる本。そんな本に出会える文学賞だと思う。

今年の本屋大賞で天下を取った成瀬も、読書があまり得意ではない人でも夢中になれる作品なので、とってもおすすめ!

全国の書店員さんが選書してくれた、「あ~おもしろかった!」と思えるノミネート作品、ぜひ書店でお手にとってみてはいかがでしょうか。


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