第9回 上場直後に何が起こる? IRについて / プレイドIPOの軌跡
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第9回 上場直後に何が起こる? IRについて / プレイドIPOの軌跡

はじめに

こんにちは、2回目のnoteです。
株式会社プレイドFinanceチームの向江と申します。

前回はIPOプロセスにおける計画策定と予実について書かせていただきました。発信することで自分の思考も整理され、あらためてよい機会になったなと思っています。ありがとうございます。

さて、入社直後からIPO準備に明け暮れ、長きに渡るプロジェクトを終えて、向江が燃え尽き症候群になるのではないか、と少なからず心配してくれていた人たちがいたことも感じる中で、IPO直後からこんなにやることあるんかい、と刺激をいただいている日々です。

今回はそんなIRの回ということで、浅学寡聞の身ではございますが、日頃直面していること、考えてみたことについてお話できればと思います。

この記事は、2020年12月17日に東証マザーズに上場した株式会社プレイドのIPOに携わったチームによる連載記事です。過去の記事は、こちらからご覧いただけます。

IRのDay0(デイゼロ)

IPO直後から(厳密には上場日の少し前頃から)、HPの問い合わせフォーム、どこかに公開されているとは(少なくとも私自身は)思ってもみなかったメールアドレスや電話番号、KARTEのチャットサポート、そしてもちろんIR資料に掲載している電話番号、ありとあらゆる経路でIR関連の問い合わせがきました。

内容は様々で、IRミーティングの日程調整依頼もあれば、競合環境やKPIなどの具体的な質問、株価やプレイドのミッションについての思いを吐露していただいたこともありました。

正直日程調整だけでもバカにならない量ですし、質問や思いもそれぞれ絶妙に違った角度からやってくるので、その回答作成にはそれなりに時間がかかります。(示唆をいただいたら、ゆくゆくはよくある質問、みたいなものをまとめていきたいとは考えております。)

続いて決算説明会。上場日から2ヶ月も経たずに、初めての決算発表がやってきました。
開催形式、集客方法、スピーカー、資料の構成、内容、デザイン、スクリプト、、、そして付きまとう日英同時開示。

論点盛りだくさんで、クワイエットピリオド*の間に燃え尽き症候群になることを許してくれなかった1番の行事でした。

*プレイドはグローバルオファリングを実施したので、米国証券法のクワイエットピリオド(40日)の規制がありました。その後すぐに第1四半期決算発表前のクワイエットピリオド(こちらは任意ですが、プレイドの場合、決算発表日前2週間から決算発表日までとしています)に突入しました。


そしてクワイエットピリオドを終えると、怒涛のIRミーティングが待っています。面談投資家数は3月末までのわずか1ヶ月半で、のべ170を超えました。

お話しする機会をいただけるだけで大変ありがたいことですが、まだIPO直後のため、面談の内容としてはプレイド、KARTEをまず知っていただく、というフェーズが大宗を占めます。オンライン面談のみで実施していることもあり、「録画を流してもバレないんじゃ、、、Botになりたい、、、」と思ってしまうことも正直少なからずあります。

あまりに多い面談数に、先日「一体この世に投資家はどれくらいいるのですか」と聞いてみました。「日本株を見ているのは4,000くらいではないですか」と返されました。
なるほど、まだまだです。

そんなこんなで、まあまあ多忙な日々ですが、IRは一体何を目指していけばよいのでしょうか。

情報の非対称性を縮め、信頼性を高め、資本コストを下げ、企業価値が上がり、、、のような話はあると思います。

では、時価総額が上がればいいのか。面談数が多ければいいのか。経営陣をIRにコミットさせればいいのか。下がるよりは上がった方がいいでしょうし、少ないよりは多い方がいいでしょう。コミットしていないよりはしていた方がいいと思います。

一方で、IRは失点(いわゆる「市場でのサプライズ」)を防ぎ続けることが意義なのでしょうか。バレーボールはボールを落とさない方が勝つ的なアレでしょうか。

正直まだ私自身答えを見つけきれていない気がしてなりませんが、それでも日々学びがあります。

まず、自分たちを知る

IR活動をとおして客観的にみた自分たちを知ること、そしてそのフィードバックを直接的に得ることができる、という点はプレイドとして新しい体験です。
たとえば競合環境やTAM、KPIについての考えを伺っていると、なるほど自分たちはそう捉えられているのか、というのが良い点も悪い点も含めて透けてみえます。

もちろん(別に悪いことではなく、)単純な理解不足でよく分からないコメントを受けることもありますが、そういった情報を取捨選択していく中で、IR活動のみならず、プレイド全体として、どんな期待に応えていきたいか、何を伝えていきたいか、何を貫いていきたいか、という思考に繋がっていくものだと感じています。

前述のように、まだ初めましての方が圧倒的に多いです(中には初めましてでも倉橋からの回し者ではないかと疑ってしまうほど共感度の高い方もいらっしゃって、それはそれで面白いです)が、今後ここの情報の質をいかに高めていくか、自分/チーム/プレイドの価値にしていくか、はIRとしてやりがいを感じるポイントです。

あいまいなミッション作戦

他方で、非常に悩ましいこともあります。
上場する前とした後で比較すると、上場してからの方が当然に自分たちに関する情報が世の中に増えたと思います。

表現するのがとても難しいですが、言葉を選ばずに言うと、今まではシンプルに自分たちが進む先に価値があった(プレイドはインナーミッションが「やりたいことで圧倒的な価値を生み出す」という超シンプルな姿勢を貫いています。)のに対し、外からの評価というものが加わり、しかもそれがすごくオープンな状態にあることによって、複雑性が増した感覚があります。言ってしまえば株価もその1つです。

この複雑性の解消というのは、IRの1つ重要な役割でないかと思っています。
そして、そのためにポイントとなるのは「今ではないところ」(なるべく遠い距離感)での共感を得ることだと思っています。

私が入社当時に抱いた思いとして、「正直ミッションがよう分からん。」がありました。気持ちをのせた会話の中で聞くと訳が分かるのですが、ミッションだけ見ても妙にふわっとしていて訳が分からないのです。
(お時間ある方はぜひプレイドのミッションについても読んでみてください。)

ただ、思えばそれも作戦で、分かりやすいものをおいて、みんなの見ている方向を完璧に揃えるのではなく、ふわっとしたものをおいておくことで、みんなで同じ(ような)方向をみ(ている感じがし)ながら自分なりに思考/自走がしやすいかたちになっているのではないか、と。
ちなみに、その方向があんまりにばらけた状態にならないように合宿だったり全社昼会みたいなことをしているのだと思っています。

IRにおいても結局築いていきたいのはそういった関係性なのかもしれません。
一緒に合宿に行く訳にもいかないので、IRミーティングなどをとおして定期的にコミュニケーションをとりながら、「今ではないところ」への共感をアップデートし続けるというプロセスが大切なのかなと考えています。

IRで伝えたい「現在地」

また、「今ではないところ」に共感してもらうためには、きちんと「現在地」を伝えることも非常に重要だと感じています。

それはもちろん期待値調整という側面もあります。遠い距離感の話(得てしてこれはでっかく、そして曖昧なものになりがちです)だけでなく、「現在地」において自分たちが何を達成していて、何を達成できていないのか。
話し手によっては、情報の非対称性が最も表れるところだと思います。

そしてもう1つの側面。
先日あるアナリストの方に「倉橋さんは今の世の中をどう思っているのでしょうね」と聞かれました。「今イケてないと思うことがあるから、目指したいところがあるのですよね」と。暗に、君たちそれ伝えきれていないよ、ということを教えてくださいました。

なるほどこれも現在地か、と気付かされました。
プレイド自身ももちろんですが、世の中の「現在地」をどう捉えていて、どのように変わっていくと考えているか、が「今ではないところ」への共感の出発点になるものです。

地球の裏側にいる人とも気軽にミーティングができ、荷物を頼んだら次の日に届き、確かにものすごく便利な世の中です。ただ、本当に自分が欲しい情報に気持ちよく辿りつけているのか、オンラインとオフラインで得る感動に違いはないのか。まだまだ変わっていく世界はあると思っています。

「現在地」においては少数にとってのNice to haveでも、ゆくゆくはMust haveかもしれませんし、Nice to have界で絶対的な地位を確立しているかもしれません。

プレイドは恐らく今までもこれからも、既に顕在化している価値を提供していくというよりも、今ない価値を生み出していく方にアツくなるメンバーが集まっています。

そんな集団だからこその、「現在地」を伝えることの必要性の高さを確と感じ取りました。

さいごに

IPO後、まだたった1回の四半期を超えただけですが、IRの果てしのなさを垣間見てすでに若干の恐怖を覚えています。

3年後、5年後、10年後、同じようなIRのかたちなのかというと、正直全くそんな感じはしないです。もしかするともっとずっとあけっぴろげなIRが主流になっているかもしれません。

それについても考えていけたら面白そうですが、まずはプレイドならではのIRの難しさと楽しさを追求していければと思っています。


次回は、ついに最終回!新井が「SaaS KPIと開示について」語ります。乞うご期待!


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(書き手プロフィール)
向江瑞穂。1991年2月25日生まれ。新卒で監査法人に入所し、約3年間会計監査や内部統制監査、ショートレビュー、IPO支援業務などに従事。その後約2年間は東日本大震災関連の事業再生業務を行いながら、2017年1月以降はプレイドにアルバイト入社し、月次、年次決算等をサポート。2017年12月に正社員として入社。入社以降1年程は決算業務やファイナンスのほか、労務関連の運用や規程類の整備、稟議制度の構築などを行っていた。2019年7月からは財務・経営企画として事業計画策定やM&A、コーポレート・ファイナンスのほか、営業支援システムであるSalesforceの改修なども担当。
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プレイドでコーポレート・ファイナンスとIRを主に担当。公認会計士。 新卒で監査法人に入所し、会計監査、IPO支援業務などを経験。その後東日本大震災関連の事業再生業務に従事したのち、2017年12月にプレイドに入社。