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#みじかいおはなし

体温に依存する幼さ

抱きしめたときの暖かさは何物にも変えられなくて、本来であれば突き放すべきなのに私にはそれが出来なかった。
なんだか、欠けた部分が補われるような心地さがどこか存在していたように思えてしまって。
ああ、なんてずるいのだろう。

(体温に依存する幼さ)

(こんなグチャグチャな心、貴方には見せられないわ)

白色だった心は、年数と環境を経て、色んな色を帯びて、気づいたらくすんで汚れてしまった。
そんな私の心でも貴方を愛せると言うのでしょうか、好きと言えるのでしょうか。
けれど…言えたとしても、きっとくちつぐんでしまうと思いました。

(こんなグチャグチャな心、貴方には見せられないわ)

ずっとぎゅっときみと。

ふと目が覚めて暗い部屋の中、うっすらと時計に目をやると深夜の3時過ぎであった。
夢見はあまり良くなかったことだけが印象に残っていて、内容はほとんど覚えてない。
不安だけが妙に残っていて、思わず隣で寝ていた彼女を抱きしめる。
温もりが伝わってきて少しほっとし

無題

何日待てば、何ヵ月待てば、何年待てば報われるのだろうか。
解放されるのだろうか。
気持ちと言葉は脳内を駆け巡っては押さえ込まれていく。

好きです、一言何の重さも乗せずに伝えたいだけだった。
見返りなんか求めてない、求めてはいけない。それでも心は呟く。
私以外を選ぶのなら死んでほしいと呟く
実に傲慢な考えであり、緩やかに狂っている

(いつから嘘だってわかってた?)

「止まりなさい、止まれッ!!」
廊下に響き渡る声、一人の女は銃を構えていた
「おいおい、丸腰相手の味方にそりゃねーだろ?」男は背を向けたまま両手をあげる
「なんで、なんでそっちに行ったのよ…」
涙が溢れて頬に伝う

「泣くなよ、いつまでもなさけねぇな」

理由があるならば

「手放したものをもう一度欲しがるのはとても我儘だと思う。」
その一言に何かを思い出したのか、友人は寂しそうに
「それでもね、後悔してしまうんだよ」って。
後悔するくらいなら手放さなきゃよかったのに。
そうやって考えてしまった私は酷く子供じみていて情けなかった

無題

私は声を失った。
不運な事故で声が出なくなっていた。
ストレスだろう、って医者は言うけれどあまり期待はしていない。
ただ一言いいたかった言葉は声にならず、空気となって宙に舞うだけと思うととても悲しくなった。
願わくば約束の日だけでも出るように、そう思うことが精いっぱいだった

大事なものだった

私の拳が彼の頬を全力で殴りつける。
それでも気に食わないから「ぬいぐるみを大事に想えないやつなんかと一緒にいられるか!」
なんて怒鳴ってやった。
支えられていたものを雑に扱う人間とどうして一緒に居られるなんて思えるのか、そこから不思議だった。

多分、一生理解はできない。

(※手直ししました)

戦争類

てめぇら、準備はいいか?

戦うための武器はしっかり準備してるんだろうな?
あ?死ぬのが怖い?
そうか、ならそこにいればいい。
怖いなら無理に動けとは言わない。
だが、そこに居る限り安息の地はないし仲間はいない分を補って、少なくとも数は減るだろうな。

それでもいいならそこにいろよ

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死ぬのはとても怖い。
仲間たちが必ず隣に立っているとは限らないし、いつ自分が地に伏し

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友人はただの考えなし

「好きだ好きだとのたうち回ってるうちが幸せだった。
相手の事を知り始めたら思っていたのと違うってなった」

真顔でこいつはそんなことを言ってきた。

「またそんなことを…」
最初のうちならまだしも、お前が他人と付き合うの今月でもう二桁だっての…。

血塗れ

背中に暖かさを感じた。
目に映るのは一面の青い空、背中は赤い水溜まりが広がりその上に赤く染まった羽が散らばっている。
右翼はもがれ、身は地へと落下した。

俺は裏切った

自分にとっての正義を全うした結果だから後悔はしていない。
心残りは向こうにいるあいつの表情を酷く歪ませてしまったことだ

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己の正義を貫いたあの人は、この世で逆らうべきでない方に何度も逆らっていた。
ある日

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無名

生まれたときから女の子が好きだった。
男の子にはない柔らかさと可愛さがあった。
心惹かれるものがその身体に詰まっていた。
けれど、私もその一人であり女の子なのだ。
故に、禁断の恋とされる恋愛は疎まれて異端の目でみられる。
正直繁殖機能なんてものが無くなったら、同類で溢れ帰りそうなものなのに

自傷行為?

ささくれを剥く癖は一時とても酷かった。
周りから見たらその行いはとても汚く見えるのだろう、みっともなく思うのだろう。
僕だってそうだ、そう思う。
けれどやめられないのだ。
無意識に、心が防御を優先する、剥くことで少しだけ安定するのだ。
それは自らへの自傷行為なのか、はたまた…