血塗れ

背中に暖かさを感じた。
目に映るのは一面の青い空、背中は赤い水溜まりが広がりその上に赤く染まった羽が散らばっている。
右翼はもがれ、身は地へと落下した。

俺は裏切った

自分にとっての正義を全うした結果だから後悔はしていない。
心残りは向こうにいるあいつの表情を酷く歪ませてしまったことだ


----------

己の正義を貫いたあの人は、この世で逆らうべきでない方に何度も逆らっていた。
ある日、私の目の前で右翼をもがれ、地へと落ちていく姿を見てしまった。

「行かないでっ」
叫びながら夢中で手を伸ばすが遅かった。

微かに触れただけで滑り落ちていくあの人は悲しそうに笑っていた気がした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?