見出し画像

「小吉展」展示会制作“小吉みくじ”

こんにちは、森たまみです。
先日私の所属しているコミュニティ、アオドリで春の展示会「小吉展」を行いました。
今回の記事はその時の作品についてお話していきたいと思います。


展示会テーマ「小さな幸せ」


 今回は小さな幸せというテーマで作品制作を行うことになりました。
 “幸せ”ではなく“小さな”幸せ。

 私自身、このテーマを展示会の企画メンバーと考えた一人でもあるんですが、これは“大きな幸せ”とは違う個人的な幸せや、一般的には共感されにくい幸せを表現して、クリエイターの個性を引き出そうという意図がありました。

 その中で私は、小さな幸せの違いは「環境や経験の違いによって生じる」のではないかと思いました。さらに、私たちが日常で「ラッキー」と考えるような運の良さは、結果として自分の行動が引き寄せたり、その価値観があるからこそ気が付けたものだと考えていました。
 

小吉みくじを作った経緯


 この小吉みくじは一緒に制作したなべちゃんこと、なべしま騎虎のエピソードをもとに、文章を整え、制作しました。

 なべちゃんはとても考えるのが好きで、日常の些細なことでもたくさんのことを考えたり気にしたりしながら生きていて、それをできるだけそのまま伝えたいと思い、この作品を作りました。

小吉みくじ


このおみくじの特徴はなんといっても、全て小吉であること。

 通常のおみくじでは、自分の運勢が気になるもの。むしろ、それが醍醐味でもあります。
 それを全て小吉にしてしまうことは、楽しみの一つがなくなってしまう。そう思う方もいると思います。 
 しかし、今回のおみくじはあえて揃え、運勢のレベルというものを取り去りたいと考えました。

 その代わり、さまざまな小吉を作りました。
具体的には【これぞ小吉】【誰よりも小吉】【可能性のある小吉】など。
同じ“小吉”という運勢の中にも違いがあり、比べられないものだと思ったからです。

 また、通常は「恋愛」「仕事」「健康」などが定番な項目分けも、引くおみくじによってバラバラにしました。例えば、天気運、食運、時間運など、より具体的な事象でカテゴライズしました。こううして、引いた人がより日常に即した形で小吉を見つけてくれるように、という思いがありました。
 

小吉みくじ 運勢「今が小吉」

 さらに、おみくじにはさまざまな紙質や印刷の色を用いました。
 これは、おみくじという運の中にも自分で選ぶという観点において、紙の手触りや、見た目的な部分で判断しているという意図を持っていました。
 そのために、今回のおみくじの箱には透明な窓をつけて、おみくじの文字が見えるようにしました。

おみくじの色は全部で7色、4種類の紙を使いました
写真:aodori Taisei Yamada


“小吉”という言葉の意味


 大吉って聞くと、何かが成功するとかうまくいくとか、そんな誰にとっても幸せことだと思うんですが、小吉ってそれとはちょっと違うように思います。


例えば、この小吉みくじに実際に書いてありますが、

「予定もなにもない日に、家に居られる。
窓を見れば傘を差す人たち。そんな私はちょっとラッキー」

という文章。


 自分が安心できる場所に居られる安心感と優越感。
 ただ家にいるだけで感じる幸せ。

 生きていれば、予定のない日も、その日がたまたま雨だってこともあるかもしれない。
多くの人にとっては当たり前で、あえて言葉にするようなことではないかもしれません。
 しかし、なべちゃんの中では、それが小さな幸せとしして確立しているのです。

 そしてこれを引いたお客さんの中にも、全員とは言わずとも、誰か一人くらいは、同じような部分に幸せを抱く人がいるのかもしれない。このおみくじを読んで、「確かに幸せかもしれない」と気づいてくれるかもしれない。
 小吉ってそのくらい誰にも気づかれずにあらゆる場所に潜んでいたり、どんなに大人だって、言われてはじめて気がつくようなことなのだと思います。

 はじめに言ったように、
 私たちの経験や環境が私たちの「小さな幸せ」を見つけていく。
 そして、幸せな気持ちを見つける瞳は、様々な部分への発見や気づきから開かれていくのかもしれません。
 その中で自分たちの作品が気づきの一つになってくれたらいいなと思いました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
 

 


 
 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?