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さあさあ、鬼と仏が一緒にいるよ。地獄絵のはなし

まえ、天橋立に旅行して、文殊堂の地獄絵の絵馬が奉納してあったことを書きました。

それで地獄絵の絵馬ってないかなって他にも調べてみた。
だって、地獄絵って色々描いてあって面白い。鬼も、溶岩の池も、針の山も、脱衣婆も、菩薩もあって。

で、そういう興味ある人はたくさんいるみたいで、もうアマゾン見たらそれ関係の本がたくさん。

それはそうだね。何冊か読んでみよう。国宝から一般の寺、江戸時代の書籍、絵画まで、いろいろ地獄は描かれていたみたいだ。
現代なら、水木しげるの妖怪のほかに、地獄も描いていたそうで。ゲゲゲの鬼太郎の地獄編から、「水木少年とのんのんばあの地獄めぐり」というのもあるそうだ。おもしろそう。

で、辞書を調べてみた。

地獄変相

罪を犯した人間が死後、地獄に堕(お)ちて苦しむ姿を図に描いて、民衆に勧善懲悪と正しい信仰を教え諭したもの。地獄変、地獄図、地獄絵ともいう。インドでは五趣輪廻(ごしゅりんね)図などが壁画に残っているが、中央アジアから隆盛となり、中国に入って閻魔(えんま)王などの十王審判によって拡大した(コトバンクの日本大百科全書)

地獄は、正確には、変相図の一つらしい。真言宗とかの曼荼羅とはちがって、浄土宗で死んで地獄と極楽の様子を描く絵ということだ。

日本の地獄絵は、閻魔様が出てくるから、中国の影響があるわけだ。日本では平安時代にはすでにあったようす。日本では、源信(942-1417)という平安時代のお坊さんが『往生要集』(985)という本に説明した地獄が、日本中にひろまったそうだ。浄土宗に大きな影響を与えた人でもあるらしい、重要な人だそうだ。法然も親鸞もこの人のおかげってことかな。

この展覧会は、もう終わったみたいだけど、説明が分かりやすい。

六道輪廻という、人間が生きて死んで繰り返している輪廻のなかで生きる六つの世界のことを描くのが基本らしい。六つの世界(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上)で、なので、地獄絵には仏もいれば鬼もいる。地獄行はやだね。しかも地獄は八つあって、針か熱湯か、舌が抜かれるかとかいろいろあるそうだ。

そのあとは、三途の川とか、脱衣婆とか、地蔵とかも入ってきて、時代を追って益々いろいろ一緒に描かれるようになったみたい。地獄も、年を追って賑やかになるんだな。遊園地みたいだ。

で、怖いばっかりでなくて、江戸時代にもなれば、笑いのネタにもなって、面白い絵もたくさん広まったそうだ。地獄を怖がってばかりもいられないしね。

これは江戸時代の国芳の浮世絵。たしかに怖いっていうより、笑いを誘う。面白い顔の鬼たち。

これは、時代が遡るけど、東洲斎写楽の地獄絵図。肉筆画かな。鬼が下敷きにされていて、武者に負けてるね。

でも、絵馬の地獄絵についてはなんか出てこなかった。絵馬は研究が多いから、その中に紛れているのかな。すくなくともサイニーという論文サイトで地獄と絵馬で検索しても出てこない。絵馬堂に地獄絵が奉納されているというのは、あんまり例が無いのかな。

でも、小さい絵馬で地獄の絵が描いてるのは、あるみたい。
京都市のお寺。寺町三条にあるそうだ。よく見かける寺だし、こんど寄ってみよう。

あと、寺に地獄絵が奉納されているのは、よくあるみたいだ。
めずらしい例として、亡くなった子供の供養に地獄絵を方法した例があるという。この論文には、滋賀県と千葉県の例が説明されている。千葉県の例では、地獄絵に自分の子供の位牌と戒名を入れているそうだ。てことは、子どもはどのあたりの地獄に居るのだろう。仏のそばに居たら親は嬉しいが。菩薩のそばに居たり。それとも、戒名とかははいってなくても、閻魔大王の裁きの場を描いたり。それで、極楽行けるように祈るのかな。

https://m-repo.lib.meiji.ac.jp/dspace/bitstream/10291/20682/1/kokusainihongaku_11_2_%281%29.pdf

でも、寺にちゃんと地獄絵を奉納するのでなくて、絵馬堂の地獄絵を調べているのはまだ見つからない。絵馬堂は面白い絵がたくさんあるのになと思う。絵としては価値が低いかもだけど。地域の歴史とか人々の考えを表している気がする。絵馬堂自体は研究がたくさんあるだろうから、継続調査してみよう。



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