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伊勢物語在原業平恋と誠 高樹のぶ子著小説伊勢物語 業平   高樹のぶ子著

伊勢物語、昔男ありけり、の書き出しで始まる。歌物語。あまりにも有名ななのに、いくつかの和歌と東下りの話しか知らない。在原業平とは何者なのか、作者は在原業平の一代記を物語にしました。業平は高貴な血筋の人と承知してはいました、薬子の乱を起こした平城上皇が、祖父、その長男の阿保親王が父、薬子の乱のあおりを受けて太宰府へ流される。許されて戻り、桓武天皇の皇女伊都内親王と結婚して生まれたのが[業平]このような時代の風の中、父の阿保親王は上表して兄行平と共に臣籍降下して、在原を名乗ることになる。天皇の地位は望まないとの意思表示。、次々と政敵を排除して権力を伸ばしていく藤原氏に対して、天皇の直系なのに心中は如何ばかりか、業平が政から距離を置いて、身を守る。[恋と誠]では数多の恋の相手を探り、政での地位争いのことなどを、懸命に生き抜いた、伝えられているような、浮名を流しただけの男ではないと、作者は確信して書いています。

小説[業平]は彼の生涯を美しい日本語で書かれています。初冠、元服したところから、物語が始まります。父の阿保親王が関わった承和の変をその父の助言でやり過ごす、幾多の恋をした後に、禁断の恋をします。相手の藤原高子は天皇の后となるべく育てられた人、高子姫は好奇心旺盛な人、清水寺参拝の時に業平と会います。幾度の逢瀬の後、二人で今でいう駆け落ちをしますが、業平の母伊都内親王のいた長岡京へ向かう途中雨宿りをしている時に後をつけていた兄達に、高子姫を取り返されたのでした。この恋の痛みは大きく、藤原兄弟のお怒りは、表立っようには見えないが、何があるかもしれず、しばらく都を離れるほうがいい高子姫のためにもと、東国へ下るのを勧められる、東下りです。伊勢物語の中に東下りをしたわけは出ていない、業平は人に恵まれ良き同行者が居ます、有名なかきつばたを読み込んだ歌はこの旅の途中で、読んだもの、旅の先々で歌を読みます。都より案じることはすでに鎮まり、早々にお帰りなされとの文が来て、旅を終えます。都に帰ってからの業平は高子姫のことを、忘れて勤めに励み尊敬する、嵯峨天皇の皇子[源融]や[惟嵩親王]などのかたがたとのお付き合いが復活するのです。入内した高子姫は[清和天皇]の后となり、後の[陽成天皇]を生みます。藤原一族が東宮の母となる願いが叶えられた折には、藤原家の守り神の大原野神社へ、、御息所高子は秋の紅葉が鮮やかな頃、御礼の参詣です、業平は近衛の御役、この行列を護る立場ですが、その昔あの糸毛車の御方と、心を交わした密か事がある、久しぶりの対面です、この時より御息所は歌詠みとして高く評してる、i業平に大原野の紅葉を思い、歌会を催すについては業平が、目にとめらる方々をお声掛けをとのことの御文、また仮名による和歌を広めたきものとのこと、業平殿にもご賛成、いただきたい、とのこと。この時の歌会で詠まれたのが、有名な歌[ちはやふる神代も聞か竜田川唐紅に水くくるとは]この時業平が、声をかけて集まった歌人が、日本で初の勅選和歌集[古今和歌集]で後に六歌仙と呼ばれる人達でした。高子と業平の恋は、実りませんでしたが、二人は和歌という文化を実らせました。千百年の時を越えて、作者は雅に和歌に生きた業平を甦らがえらせました。お読みになるなら[恋と誠]と小説[業平]を合わせて読まれることを、勧めます。業平が生きた時代の出来事もわかります。 

和歌は、画家の絵心誘う、特に杜若の歌は尾形光琳、酒井抱一、が、屛風に素晴らしい八橋と杜若を描いています。

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