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遠距離恋愛ならぬ遠距離親子

ムスメと遠距離親子をして、かれこれ4年目に入ろうかとしている。

もう4年。うちらもまあまあ続いてるじゃん!と遠距離恋愛であれば愛を重ねた証でもあるのかもしれないが、親子の場合そうもいかん。
はぁ~なぁ~れぇ~たぁ~時間がぁ~愛そぉだぁ~てるのさぁ~♪とヒロミゴー様も歌っておられるが、ワタシは離れた分だけムスメの育つ瞬間を見逃した。
毎月ムスメに会いに行くものの、それでは都合のいい部分だけの親をやっているだけ、学校の行事も出来る限り参加はしたがやはり地域に暮らしていないとなると、ママ友も減り完全に蚊帳の外になった。
そう、親と子の間で遠距離なんて8割方不都合ばっかだ!
だけど、いくら都合が悪いことがあろうが別れられないのも親子だった。
なんて言うのは、不謹慎か……。

もちろんムスメと別れたいはずがなない。
でも、4年前ワタシはムスメをひとり実家に置いて家をでることを決めた。
あえて、親子にとって不都合な決断をした。

ワタシが自分を生きることを表明するために……。

ワタシはそもそも不完全な『お母さん』だった。
シングル無職の状態でムスメを産み(←いや産ましてもらったが正しい)、家業の手伝いや派遣にバイトなどでなんとか生命を維持はしてきたが、先のことを考えると「このままではいけない」がムスメを産んでからずっとあった。あるにはあったが、どうしようどうしようと焦るばかりの10年を過ごし、(齢)35のある日ブチ切れたように地元から離れた花の都東京で職を探した。

真っ当に自立を考えるなら地元で職を探しムスメと二人の生活を始めるのがベストだろう。
だが、ワタシはあえて地元から離れることにした。
正直、東京に行ったところでなにもない。
ただ、働くなら地元で十分なのだ。
そんなこと重々承知であえてそうしたのは——、

普通の『お母さん』のイメージを捨てるためだった。

まぁ、不完全な母親なので普通の『お母さん』などと名乗るのはおこがましいが、ありがたいことにムスメを産んだだけで頂いた『お母さん』という称号。それだけで、一応人生の何か一つをやったことには出来るが本当は空っぽな自分。18の時に東京に出てなーんら自分に手にするもななく子だけ産んでしまった自分。に、もぉ~ぅうんざりし、『お母さん』という陰に隠れるのを辞めるための儀式として、無理矢理普通の『お母さん』逸脱し、世界をこじ広げようとした。

が、子を持つ親が「何ものかになるため」に家を出るなんて、一人で家を出るより周りに多大なるご迷惑をお掛けする。
ムスメはもちろん、ジジにもババにも未だご迷惑をお掛けしている。
ムスメはワタシの身勝手な行動で本来しなくてもいい寂しい想いをさせ、ジジとババには実質的なムスメの衣食住をお願いしている。
そのことを考えると、ワタシの行動はバツである。
世間的にも人的にも、人生をやり直すため!自立するため!とはいえ、大した名目もないくせに子を置いて家を出す行動は大間違いである。

ただ、現状から逃げただけなのだから……。

だが、とりあえずだとしても逃げたおかげで見えた世界はあった。
やはり行動してみないと分からないことばかりでできている。
田舎に居てムスメとの生活を優先していたら、仕事というものがただ生活を繋ぐものでしかなかったかもしれない。
特にまだ何も手にしていないが、本来ムスメを産む前に経験すべき世界を逆行し体験できたおかげで、人は働いて結婚して子を産んで子のため生きて居れば幸せで停止していた思考が動き出した気がする。

本来は挑戦したいことがあるのに家庭があるから諦めていることはありませんか?

大人が駄々をこねることはダメなことです。
でも、ダメなことも声に出してみたら伝わることがあります。
ワタシは奇跡的に母親になってからの一人暮らしを許されたは、ダメを無視し越えたからだ。
よかったか悪かったかの答えは何一つ出てはいないが、ワタシの家族は笑っている。
ありがたいことに、家族のみんなもワタシの暴挙を利用し、孫を育てるのを楽しんでくれたり、ムスメはムスメでワタシが東京に居ることを利用している。

来年、中学卒業を期にまたムスメとの生活がはじまる。
ムスメを産んだ時はワタシの両親も合わせた暮らしだった。
なので、ムスメと二人っきりの暮らしは初めて、またちょっとピリリと新鮮な生活が始まる予感がする。

そして、これはムスメが中学入学時に自分自身で決めたことだ。
たぶん……、ワタシが恋しいからではない。
ずっと一緒だった友達と離れることが嫌で友達を選んだ小学生をこえ、中学になったムスメはそれより、新しい出会い、新しい世界を求めたのだ。
その、ひとりになる勇気を持ったムスメはワタシと同じように自分を見つめだしたように見えた。

それは多くのムスメの成長は見逃したが、ワタシが一人離れて暮らすことで見られたムスメの成長だった。

さてさて、そろそろ4年前ワタシが新しい生活を始めたように、ムスメも新しい生活を始める準備をしているようだ。
ワタシも負けてられない。もう一歩前進せねば。

ワタシたち家族は日々カタチを変え更新している。

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