ひとりじゃないピアノ
ある一日。
ラフマニノフの2台ピアノ「組曲第2番『ワルツ』」初合わせ。
といっても、レッスン終わりに遊び程度に、ということだから、これが最初で最後の合わせのようなもの。
はあ、心が揺さぶられるような感覚を味わって、とても楽しかった。
遊びだし、とまともに練習せず、譜読みから2週間くらいしか経っていなかったので「ゆっくりだったら通せます」と言ったのに、気が付いたらハイになっていたようで、ほとんどインテンポで通しているくらいには楽しかった。
誰かの演奏を聴いていた時も良い曲だなとは思っていたけれど(ワルツロマンスタランテラ序曲の順で好き)、自分で弾くと、こんなにもっともっと楽しい体験ができるだなんて。
特に楽しかった部分があって、それは中間部。
冒頭からの忙しないパッセージの後に来る、休息。
(とはいえ絶え間なく指は動く)
歌心たっぷりの、ザ、ラフマニノフ節が炸裂する部分。
展開(和声のうつり?)がもう、キュン。それから何より、ここは、アンサンブルとしてとても楽しかった。
メロディが、プリモとセカンドを行ったり来たりするの。
1回目のフレーズはプリモがメロディ、セカンドが伴奏。
次に同じフレーズを繰り返す時は、プリモが伴奏へ。セカンドがメロディ。そのままお互いに盛り上がって盛り上がって……
1番盛り上がる頂点の部分は、リズムも音も同じで、縦の線がぴったりそろう。
その後、少しだけプリモが伴奏を担当し、また伴奏をセカンドにバトンタッチして、プリモがメロディへ。
そのままプリモのメロディによって収束。
弾きながら、
「はいあなたが主役です、どうぞ」
「ありがとうございます、たっぷり歌います」
「はい、じゃあ合わせますね」
「ありがとうございます、気持ちよく歌えました、次はあなたの番です」
「ありがとうございます、では歌わせて頂きます」
と会話を繰り返していくような感覚。
自分じゃない誰かの音が気持ちよく入ってくるこの感覚。
ああ、吹奏楽だ。
・相手の音をよく聴く
・自分の役割をわきまえて音を出す
何度も指導された、いや、怒鳴られた、いや指導されたこの言葉たちを思い出す。
思い返せば、吹奏楽だけではなくピアノにおいても、中学3年間は発表会で連弾して、コンクールは連弾部門も出て、さらに部活のソロコンの伴奏、合唱コンクールの伴奏、校歌の伴奏などなど、ソロよりもずっと多く、アンサンブルの機会があったのでした。
高校も同じく。
今も、こんなに気軽に連弾や2台ピアノができる環境がとてもありがたい。
「わあ!今の音ぴったりだったよね!良かったよね!楽しいね♡」という心が揺さぶられる感覚は、何度味わってもいい。
ひとりじゃないピアノ、楽しいね。
おまけ
思い出したわ、職場の先輩(昔ピアノを習っていた)にこう言われたことがあったのでした
うん楽し〜
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