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「知らんけど」ヘビーユーザーによる「知らんけど」考

「関西の人、『知らんけど』って最後に言うことが多くないですか?」
バラエティ番組の街頭インタビューか何かで聞いた言葉だった気がします。
……。うん。多い気がする。

かくいう私は関西出身(注:たまに「ホンマに関西?」とネタにされるエリアかもしれない)で、関東では敬語で喋っていても「関西の方ですか?」と聞かれる程度には関西弁のイントネーションが抜けない人間です。

関西人あるある。一通り語ったあとに繰り出される「知らんけど」。
テレビのインタビューの続きでは「急に責任投げてる(笑)」と言われていて、正直目からウロコでした。

会話の中で「知らんけど」は無意識に言っているので、そのインタビューを聞くまで違和感すら覚えたこともありませんでした。自分が言うのも、人が言っているのもスルーしてきていたので。
ただ、よく考えると面白いので、「知らんけど」を関西人はどんなニュアンスで言うのかなぁ、という私の独考を書いていきます。
※下記はあくまで私の個人的見解です。

◎「知らんけど」を言うとき


だいたいどうでもいい与太話のあとにつけることが多い気がします。
だれ子とかれ男がつきあってるらしいとか、その仲がどうだとか。
うろ覚えのニュースについて、こんな事あったらしいよ、とか。

小耳に挟んだけど、実際正確かはわからないなぁと言うときは、勝手に口が「知らんけど」を付け足します。確信度がだいたい30%~70%のときにつくイメージですね。
ちなみに確信度0%~29%は「知らんけど」をつけてもあまり話しません。
「知らんけど」だけど、知っているはある程度必要です。

30%~70%って幅広くないかと自分で考えていて思ったのですが、なんとなくパターンがある気がします。

◎確信度30%~50%の「知らんけど」


このパターンのときは、だいたい言いはじめに「この前聞いたんやけどさ」とか「いやーようわからんねんけどさ」など前置きが入ります。

本当に小耳に挟んだ程度の内容、かつ自分の考察が入っているときに言うことが多い気がします。
「ほんま知らんけど、ほんまに知らんねんけどな」、連呼もありです。

非関西弁圏の方からすると、知らないなら言わなくていいのかもしれませんが……。

以下、友人との会話イメージです。

A「C子ちゃんって彼氏いたっけ」
B「あー、前彼氏できたって言ってた」
A「えー、いつ頃?」
B「3ヶ月前くらいやったんちゃう?知らんけど。あ、でもC子の誕生日くらいに付き合って、それが4月やから、今8月やろ……。4ヶ月位ちゃう?」

ー懐かしき学生時代某日の会話より

上の会話を例にすると、「知らんけど」は一度会話の間をおくワードにもなるようですね。(書き出して気づきました)
たしかに、「知らんけど」を言っている間にそういえば……という感じで新たな事実を思い出したりします。

ある種の場つなぎの言葉としても機能しているのかもしれません。

◎確信度50%~70%の「知らんけど」


この「知らんけど」は事実に対しての「知らんけど」ではなく、
・全面的にそう思っているわけではない
・自信を持って知っているわけではない状態、あくまでもそう聞いただけ
・個人的な身の回りではそう思われる
というニュアンスが強いのではないでしょうか。

例えば以下のやり取りに当てはまる気がします。

A「そういやさ、今どきの女子高生ってタピオカの店のポイントカード持ってるらしいで。知らんけど
B「そうなん!でもさ、もうタピオカってブーム終わったんちゃうん?知らんけど。梅田でも店結構閉まってるし」

ー鴨川沿いでの会話だった気がする

どちらかというと「責任を投げている」、というよりは「私の知る限りは」という保険を無意識にかけているのかもしれません。

◎「知らんけど」の効用?と地域間の齟齬


私的な見解として、「知らんけど」で済む話は軽い話が多く、気楽に会話ができます。
かっこよく言うとアイスブレイク的な要素のある話とでも言うのでしょうか。

友人Sちゃん曰く「そんな真剣な話しちゃうから、真面目に聞かんといて~。とりあえず話したいねん」とのこと。
「知らんけど」は「聞き流してね」「どうでもいい話だからね」というサインの一つな気がします。
(真剣に話されている方がいたらすみません)

関東に行ってみると、結構真面目に聞いてくださる方が多くて、こちらばかりがテンション高めになってしまい申し訳なくなることも……。

話していてなんだか噛み合っていない?と思ったときに、なぜだろう、と考えたら、実はツッコミ待ち・少しボケ発言だったたけど、そのまま流れたからか!と気づいたこともあります。

無意識にしていたので、最近会話しながら違和感を感じると「あ、自分今ツッコミ待ち?」と考えてしまうことがあります。
(かといって、会話でいいボケをしている自信はありませんが)

◎おわりに


ここまで「知らんけど」について書いてきて行き着いた答えはシンプルでした。
「『知らんけど』は真面目に捉えないでください……」
喋りたいんです……。すみません。よう知らんけど、口が寂しいんです。

ネタあったよ、くらいのノリで話すと頻出するこの言葉は、ある意味信頼のフレーズ?かもしれません。

話し相手とそのくらいラフな気持ちで、しょうもない会話を楽しめる関係性ということなので。


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