ヤクルト、宮台康平で史上初「東京六大学野球リーグ出身者全校コンプリート」


東京ヤクルトスワローズがコロナ感染拡大で苦しむ中、東大卒の左腕・宮台康平が実に4年ぶりとなる久々の一軍マウンドで好投を見せた。

ヤクルトは7月10日までに、新型コロナウイルスの感染拡大により、チーム内で高津臣吾監督以下、27人の感染者を出したことを発表した(7月15日現在、新たに29人にまで増えた)。
それを受けて、大量の選手の入れ替えを行い、7月12日、宮台も一軍への昇格を決めた。

7月14日、バンテリンドームでのヤクルト対中日ドラゴンズ戦、1-4とビハインドで迎えた8回裏、ヤクルトは3番手として、左腕の宮台康平がマウンドに上がった。

宮台は2020年オフにヤクルトに入団してから初の一軍登板、さらに日本ハム在籍時の2018年8月23日以来のソフトバンクでのプロ初登板・初先発以来、1421日ぶりとなる一軍での登板となった。

宮台は中日の7番・三ツ俣を三振、8番・石垣をショートフライ、そして、代打・平田から三振を奪い、三者凡退。1回を15球、2奪三振、無失点という登板内容だった。

ヤクルトは1-4で敗れ、3連敗となったが、前日に緊急昇格、即、1番でプロ初出場となった並木秀尊、そして、この日、今季初出場で3番に入った内川聖一らにもヒットが生まれ、セ・リーグ首位を独走するチ―ムの選手層の厚さをうかがわせた。

東大出身投手として51年ぶり先発登板でプロデビューした宮台康平

宮台康平は神奈川県立湘南高校、東京大学野球部を経て、2017年ドラフトで北海道日本ハムファイターズから7位指名を受け入団。
東大野球部からは新治伸治、井手峻、小林至、遠藤良平、松家卓弘に次いで、史上6人目となる、プロ野球選手が誕生した。

宮台はルーキーイヤーの2018年、8月23日、東京ドームでの対福岡ソフトバンクホークスにプロ初登板・初先発。
東大出身投手としては5人目となる一軍マウンドを踏んだ。
しかも、東大出身投手の先発登板は、1967年8月16日、中日・井手峻が中日球場でのサンケイアトムズ戦でプロ初先発を果たして以来、51年ぶりとなった。

宮台はソフトバンク打線を相手に、5回途中、二死一・二塁のピンチとなったところで降板したが、4回2/3を投げ、打者24人に対し、91球、被安打4、与四死球6、2失点という投球内容。
降板後に、味方打線が一旦は追い付いたため、宮台に勝敗は付かなかった。
その試合で股関節を痛め、リハビリに専念した。
2019年、2020年は二軍では登板したが、一軍登板はなく、2020年オフに育成契約を打診されたが、固辞して退団、自由契約となった。
トライアウトへの参加を経て、複数の球団が獲得に興味を示したが、その中でヤクルトが支配下登録選手として契約。

2021年は二軍のイースタンリーグで27試合に登板すると、1勝1敗1セーブ、防御率2.13という成績で、一軍での登板はなかった。

ヤクルトは宮台の入団によって、東京六大学野球リーグに所属する6校の大学の硬式野球部の出身者がすべて揃うという「コンプリート」を達成しているが、これはNPB史上初となる。


「六大学コンプリート」まで惜しかったのは・・・

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「東京六大学野球部出身者コンプリート」の達成まで、「あと1校」と惜しかったのは、東大初の野球選手となった新治伸治が在籍した大洋ホエールズ。

新治が1965年に入団した時点、明治大学出身の秋山登、土井淳、近藤和彦、立教大学出身の稲川誠、法政大学出身の島田幸雄が在籍しており、新治と共に、早稲田からは江尻亮が入団したため、残るは慶応義塾大学野球部出身者だけであった。
その年のオフ、法政出身の島田が中日に移籍して退団したが、入れ替わりで1968年に法政から木原義隆が入団した。
ところが、今度はその年のオフ、立教出身の稲川誠が退団(二軍投手コーチに就任)。
そして、新治自身も現役を引退した。
その入れ替わりで、読売ジャイアンツから慶応義塾大学出身の捕手・大橋勲が移籍入団したため、「同一チームに東大六大学野球部全校の出身者が在籍」という事態にはならかなった。

また、松家卓弘が2005年に入団した横浜ベイスターズも、この時期、同時に早稲田、法政、明治、立教出身の選手は在籍したが、松家が退団する2009年シーズンオフまで慶応義塾大学出身のみ在籍しておらず、また、その後、松家が移籍した北海道日本ハムファイターズも、松家が在籍した2010年から2012年のシーズンに慶應出身の選手が在籍していなかった。

宮台、東大出身投手として半世紀ぶり勝利投手なるか

宮台康平が今季、一軍で勝利を挙げれば、東大野球部出身投手としては、1967年9月10日、中日・井手峻が中日球場での対大洋戦で中継ぎ登板で勝利を挙げて以来、55年ぶりとなる。

また、もし先発で勝利を挙げれば、1965年10月18日、大洋・新治伸治が川崎球場での対サンケイスワローズ戦で完投勝利(自身通算9勝目)を挙げて以来、57年ぶりとなる。

ヤクルトは今日から横浜スタジアムでDeNAとの3連戦の最後の試合(初戦は雨天中止)、7月18日から、本拠地・神宮球場での対巨人3連戦を控えている。

宮台にとって、東大野球部在籍時である2017年の秋季リーグ戦以来となる神宮のマウンドを踏むことができるか、そして、ヤクルトの主力選手たちが復帰した後も、宮台が貴重な左腕のリリーバーとしての評価を得て、一軍に残留できるか、注目したい。

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