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自傷行為と愛情

今日はある研修会に参加しました。
ゲーム依存を取り扱うということで、そちらが目的で参加しましたが、県のチーフスクールカウンセラーの方の愛着障害に関する話が非常に勉強になりました。

そしてその方のお話を聞くなかでひとつ思い出した出来事があります。

数年前、自傷行為をした子の保護者と面談する機会がありました。私ではなく別の職員が対応している様子を近くで見ていました。普段仕事が忙しく、娘と話す時間がほとんどないというお母さんに職員が「抱っこしてあげてください。よしよしして、思い切り甘えさせてあげてください。」と言ったんです。
私は「中学生なのにそんな小さな子供にするようなことをして嫌がられないだろうか?」と思いました。でもこれは大きな間違いでした。

その子に面談後の家での様子を聞いたところ、お母さんと一緒にお風呂に入り、一緒に寝るようになったそうです。お母さんとのスキンシップが増えた途端、その子はみるみる元気を取り戻しました。見るからに顔色、表情が明るくなり、覇気がなかった頃とは一変しよく笑うようになりました。「中学生だからもう甘えないだろう」というのは私の勝手な思い込みだと気付かされました。

今日の研修でも、乳幼児期に愛着が形成されなかった子どもは、その後も他者とうまく関係が築けなかったり、ちょっとした注意を過剰に受け取って深く傷ついたり、自分の子どもに対して不適切な関わり方をしたりすることがあるという話を聞きました。
そしてこうした子どもに必要なのは「心の伴った抱っこ」なのだという話でした。

仕事をしていると、何人もお子さんがいる保護者から「うちには3人子どもがいるから、順番にひとりずつ連れ出して買い物に行ったりおやつを食べに行ったりするんですよ」という話をよく聞きます。「親を独り占めする」という時間、親の愛情の全てが自分だけに降り注がれていると感じる時間が子どもには必要なのだと思います。

子どもに対して不適切な関わり方をしている親は、自分がそういう風に育てられてきたために、「愛情を注ぐ」方法がわからないのかもしれません。
子どもだけが悪い、親だけが悪いというのではなく、問題の根っこはもっと奥深くにあり、何世代にも渡って続いているのかもしれないと感じた研修でした。

試験勉強中は家族療法について深く掘り下げて学ぶ事ができませんでしたが、こうした話を聞くと家族療法の必要性をひしひしと感じます。いずれ勉強したい領域です。

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