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事業者必読!インボイス制度

みなさんこんにちは税理士法人MMI営業企画部起業コンサルそうすけです。本日は起業したての方、そして免税事業者には、経営にかなり影響を及ぼすインボイス制度に関してお伝えいたしますので、ぜひ最後までご覧ください。

①消費税について
②免税事業者とは
③インボイス制度とは
④ではどうすればいいか?

消費税について

まずインボイス制度をご紹介する前に基本的な『消費税は誰が負担して誰が払うのか?』の説明をします。

財務省HPより引用

一番右側、消費者をご覧ください。消費税の負担者は消費者です。しかし消費者の方々は消費税を国に対し直接納税をしていません。

では誰がその消費税を国に対し、直接納税しているのか?
答えは、消費者から消費税を預かった事業者(個人や法人)です。

その事業者も事業活動をする上で仕入や諸経費を負担していますね。
その為、事業者が消費者から預かった消費税と自分が負担した消費税との差額を国に納めるのが消費税となります。

今度は左から2番目の卸売り業者を見てください。卸売り業者は製造業者から製造物を税込み5,500円で仕入れました。それを包装して小売業者に税込み7700円で卸しました。この場合、卸業者は製造業者に消費税500円払って、小売業者から700円預かっていますね。預かっている消費税700円から支払った消費税500円を引いた200円が納税する消費税になります。
ちなみにこの課税売上の預かっている消費税700円から課税仕入れの支払った消費税(500円)を引いて納税していいよということを仕入税額控除と言います。この言葉が重要になってくるので覚えておいてください。

免税事業者とは

消費税を必ず納める必要が出てくる課税事業者には、共通点があります。それは原則として消費税が課税される年間売上高が1,000万円超である事です。

また、消費税が課税される年間売上高が1,000万円以下となる場合は、原則消費税を納めなくていいのです。そんな事業者を免税事業者といいます。

インボイス制度とは?

国税庁のページにはこんなことが書いてあります。

【適格請求書(インボイス)とは】
売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。
【インボイス制度とは】
<売手側> 売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません(また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります)。
<買手側> 買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイスの保存等が必要となります。買手は、自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項(インボイスに記載が必要な事項)が記載され取引相手の確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることもできます。

国税庁HPより

ん・・・書類のこと?はい・・・あまり意味が分からないですよね。
これがどんな影響を及ぼすのか、これを読んだだけでは分かりません。

注目してほしいのは消費税の説明をした部分で出てきた『仕入税額控除』です。この仕入税額控除の適用をされるのか否かが今後の免税事業者と課税事業者の取引に影響してきます。

いったん、ここまでを簡単にまとめますね!

インボイスとは適格請求書の意味で、適格請求書発行事業者とは、うちの会社は課税事業者で、税務署長に申請し適格な請求書を交付することのできる事業者ですよ!という登録を受けた事業者だということです。つまり(図)ということです。


では適格請求書発行事業者に登録した場合と、適格請求書発行事業者に登録しなかった場合の税制面に関して(法人間取引の場合)を具体例で見ていきましょう!

まず、前提としてB社(課税事業者)はA社(免税事業者)から仕入を行っているとします。

A社 免税事業者
年間売上 990万円 (うち消費税 90万円)
年間仕入 550万円 (うち消費税 50万円)

B社 課税事業者
年間売上 1188万円 (消費税 108万円)
年間仕入 990万円 (消費税 90万円)

さて、このような事業者間で今までのケースであればこうなります。
(※ちなみに法人税は利益×30%で計算しています。)

A社は売上 990万円なので免税事業者ですね!経費 550万円なのでこの差額で利益 440万円これに法人税率30%をかけて納税額は132万円が納税額となります。(※消費税は免税事業者なので納税しなくてよいということになります。)

B社 は売上1188万円(内消費税 108万円)なので課税事業者 ですね!売上 1188万円 で経費は仕入の 990万円(内消費税 90万円)ここで預かった消費税108万円から支払った消費税90万円を引く仕入税額控除をして(108万―90万)で消費税は18万円
利益が180万なので法人税は54万円
18万+54万=72万が納税額になります。

これがインボイス制度が始まり、A社が適格請求書発行事業者に登録しなかった場合どうなるかというと


免税事業者であるA社は今までと変わらないのですが、課税事業者であるB社は納税額が63万円増加し、利益が90万円減少するということが起きてしまいます。

なにが起きたかと言うと、B社の仕入(経費)の消費税を見てください。先ほどは90万でしたが、0円になっています。つまりこれはA社が免税事業者で適格請求書発行事業者ではないので、仕入れ税額控除できなくなってしまった!ということが発端で、収めるべき消費税が跳ね上がったんです。消費税が増えたので利益が下がって法人税も下がったのですが消費税+法人税で合計納税額は増えてしまったということです。

こうなると課税事業者であるB社は、A社と取引すると利益が減少するし、納税も増える。大変だから他社(適格請求書発行事業者)に変えようかな・・と思ってしまうわけです。

免税事業者にとって、例えば大手さんの下請けをしているような大きな取引相手に乗り換えられるのは非常に困りますよね!それを避けるためには適格請求書発行事業者になることが手段としてあります。

では、そんなA社が売上1,000万未満の免税事業者でも課税事業者の申請をして適格請求書発行事業者になった場合は、どのようなお金の動きになるのか見ていきましょう。

この場合、今度はB社は今までと変わりません。ところがA社は、売り上げの中の90万を利益に換算することが出来なくなります。結果、納税額が28万円増加、利益が40万円減少してしまうのです。

何が起きたかというと、利益にしていた預かり消費税90万が利益ではなく単純に預かり消費税になるので、預かりの消費税90万―支払い消費税50万の仕入税額控除をすると、消費税の納税額が40万になります。今まで利益にしていた40万は収めるべき税金になります。利益が減ったので法人税も減りますが、消費税が加わった分、納税額は28万増の160万になります。

こうなるとA社はB社と取引すると利益が減少するし納税も増える。暮らしていけないから値上げ交渉できないかな?下手すると倒産してしまう・・・となる可能性があります。

今回は法人間取引でしたが、A社が個人事業のAさんでも同じことが言えます。

では、どうすればいいのか?

今後の対策について少しお話します。

インボイス制度は2023年10月1日よりスタートします。2023年10月1日より適格請求書発行事業者になる為には、2023年3月31日までに登録申請書を税務署に提出する必要があります。登録申請書の提出は、2021年10月1日から始まっております。それまでに”免税事業者”の方は、次の事を踏まえた上で検討する必要があります。

① 【顧客】自身の顧客は消費者なのか免税事業者なのか課税事業者なのかのいずれが主なのかを洗い出しましょう。もし顧客が消費者であるならば、今のままの税込み価格で請求しても大丈夫である可能性があります。なぜなら個人のお客様が100円の品物を110円で買ったことに対し、適格請求書発行事業者なのか?と問われる可能性は極めて低いからです。

② 【市場価値】価格以上に品質や納期など競争力が強い商品やサービスを提供しているのか検討しましょう。課税事業者が免税事業者の商品を他にないので、今のままの金額で取引せざる負えない場合です。

③ 【信頼性】主要顧客との信頼性があり、価格交渉が行えるか否かを検討しましょう。

ということなのですが、あくまでも起業コンサルの僕の意見として、僕も経営者の時は長く免税事業者で、一時課税事業者になった時に消費税の納税額が来て、うわ~マジか~と思って売上1,000万を超えないようにしよう…なんて考えに陥ってしまった事があって、ギリギリ免税事業者の気持ちは痛いほどよく分かるのですが、夢を持って起業したのであれば、この売上1,000万に満たないところでインボイス制度にどうしよう?と悩むより、売り上げを上げることを思考して、1000万を超えて堂々と課税事業者となりインボイス制度どうのこうのに頭を悩ませることではないかな…とも思います。

というわけでありがとうございました。もしこの記事が役に立つなと思って頂けましたらいいね&フォローの方よろしくお願いいたします。Twitterもしているのでよろしければフォローの方よろしくお願いいたします。TwitterのDMで相談なども随時受け付けておりますのでご遠慮なくご相談ください。それではまた次回!税理士法人エムエムアイ営業企画部の起業コンサルそうすけでした!また来週!

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