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カフェ店員ならではの気づき

新型コロナウイルスが流行して色々な変化が起きた。

店員もお客さまも、ほとんどがマスクをしている。事務所には、店長がどこからともなく買ってきた、安いマスクが置かれている。

お店の入口には消毒が置かれ、店員も手がカサカサになるくらい頻繁に消毒を行っている。

事務所にも、冬場にしか置かれることがなかった”ハンドクリーム”が常備されるようになった。

レジとフードの受け渡し口には、”ビニールの透明な垂れ幕”が下ろされている。最小のころは、この垂れ幕に大分悩まされたものだ。

”声が聞きづらい”。

お客さまも店員も、お互いに「え??」と聞き返す回数が増えた。最近では店員の声も大きくなり、お客様の声を聴くスキルも身についてきたのか、だいぶ聞き返す回数は減った気がする。

こうして少しづつ時代に適応していくのだろう。

ただ、私がカフェの店員として働いていて一番感じている変化はほかにある。

その変化を感じるのはレジをしているときでも、フードを作っているときでもなく、洗浄、つまりお皿を洗っているときに感じる。

コーヒーカップに口紅がついていない。

冬になり、ホットの飲み物が出るようになると、うちで使っている真っ白なカップには、真っ赤な口紅がついていることがよくあった。

口紅の主成分は脂なので、洗浄機にかけただけでは落ちない。だからしっかりとスポンジでこすり落とさなければならない汚れなのだが、この一年、全くと言っていいほどカップについた口紅汚れを落とした覚えがない。

今でも、女性のお客さまには利用していただいているはずなのに。

やっぱりマスクをしていると口紅はつけなくなるんだな。確かに私もマスクをするようになってから、口紅はつけなくなった。

カフェで働いていたから気づけたこと。

体感ではなく、この変化を実感できたことが少し嬉しかった。

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