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テレビが出すバイブス

先日、我が最推しのひとりである世界的人気の某KPOPアイドルの某テテちゃんが日本のバラエティー番組に出るというので、久しぶりにテレビの前に待機した。

我が家のテレビはリビングに1台だけ。
そのテレビは2010年製の34型。34型は高さ40cm、幅70cmである。令和に暮らす4人家族の家のテレビとしては小さすぎて持ちネタにしているくらいである。
画面が小さいのでテレビから1mくらいのところに座ってテレビを見ないといけない。ひとりならいいが、家族4人でテレビでスポーツ観戦、例えば昨年のサッカーW杯の決勝戦の時は、戦後間もない日本で街頭テレビに群がり力道山の試合を見てエキサイトしている市民のようだった私たち。
数年前海外から日本に住むことになった時、私の実家で使っていなかったこのテレビを取り急ぎという感じで持ってきた。そのうちに適度な大きさのテレビを買うか、プロジェクターでも買うかなどと思っていたけれど、今も34型テレビのまま。
我が家ではテレビの必要性をどんどん感じなくなっているのだ。

夫は日本語ができないので、以前は海外のニュース番組や一時期契約していた母国のチャンネルを見ていたこともあったけれど、今はテレビはほぼ見ない。
子供達は日曜朝や平日夕方のアニメ番組を楽しみにする年齢もすぎて、夕飯時になんとなくテレビをつけてバラエティー番組を流し見する程度、食事が終わればテレビも消してそれぞれ自室に戻る。サッカーや野球など好きなスポーツの大きな試合などがある時はテレビで観戦するし、金曜ロードショーはたまに見ている。週末もテレビはほぼ見ず、もっぱらスマホやiPadでYouTubeを見ている。
以前完全なるテレビっ子だった私はというと、友人とのテレビの話題に全くついていけない程度にはテレビを見なくなった。日本に戻ってきてすぐの頃は、朝のワイドショーや某ヒルナンデス、夕方のニュース番組に、マツコが出るバラエティーなどを楽しく見ていたけれども、1年も経つとテレビを消してしまう時間がどんどん増えて、今では大きな事件があった時や好きなスポーツを見る以外には自主的にテレビをつけることはほとんどない。代わりに平日昼間はFMラジオのJ-Waveをつけっぱなしにしている。

テレビ離れは我が家に限ったことではないだろうけど、それにしても我が家はテレビを見ない方だと思う。
以前は見なくてもとりあえずテレビを流していたけれど、スマホやiPadなど他の画面を見ていると見もしないテレビの音が煩く感じるようになったのでテレビを消すようになった。しばらくテレビの音がしないことに慣れてしまうと、テレビをつけた時そのうるささが余計にひどく感じられる。
特にバラエティーやCMなどでキンキンと高い声や張り上げるような声や効果音の笑い声などが聞こえてくるとすぐにリモコンに手がのびてしまう。
自分が歳をとったからというのもあるだろうけど、特にゴールデンの時間帯のバラエティーなど何を見てもやらせにしか思えないものが多すぎるし、不自然さと嘘くささのオンパレードは、世の中の常識・非常識や割と多くのことを知ってしまったオトナにはちょっとキツイ。

冒頭のテテちゃんが出たバラエティー番組を見た時も、かわいいテテちゃんのビジュアルに一点集中してなんとか耐えたものの、早くテレビを消してしまいたかった。テテちゃんという稀代のナチュラルボーンアイドルを招いておきながら、やらせというか全て台本ありきで進んでるんだなぁという薄っぺらい内容で(それでもテテちゃんのかわいさで画面がキラキラほんわかムードだったのは本当にすごい)、やっぱりテレビはもういいなと思った。

昔から人気のあるテレビ番組だったり伝説のドラマというのは画面から特有の空気感というか「バイブス」(初めて使ったw)が感じられた気がする。CMから切り替わってその番組が始まった瞬間からその空気感で画面に惹きつけられ、画面の向こうの世界に没頭して、番組が終わった時に自分もそのバイブスを共有したかのような余韻が残る、みたいな。
YouTubeやネトフリなど面白いコンテンツを発信する媒体は多々あるけれど、テレビが唯一それらと違うことといえば、同時刻に多くの人が同じ番組のバイブスを共有する体験ができるということ。番組終了直後のSNSの盛り上がりや、インターネットのない時代には翌日の職場や学校などでその番組の話題で持ちきりになる、みたいなことがテレビの持つパワーだと思う。
逆に人気のアイドルタレントや芸人を出して、大まかな展開は台本ありき、動画はネットに既に出回っているものを使い、後ろに笑い声でも入れておけば視聴者も釣られて笑うだろう、これでそこそこの視聴率が取れれば、、というスタンスの番組からは負のバイブスがダダ漏れになっている。
製作側はいつまでもこんな番組で視聴者側をうまいこと騙せていると思っているのだろうか?
その番組が流れる画面の前にいるのは、テレビをつけっぱなしにしながら、スマホやiPadやパソコンなど他の液晶に映る動画に夢中になっている「見ていない視聴者」かもしれないのに。

SNSに流れてくる連日のJ事務所報道を見るに、テレビが完全に終わるのはまだだいぶ先にしても、テレビの役割という部分では大方もう終わりなのかなと感じた。



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