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あなたへの所有欲なんて、ないと思っていた

どんなに周りが素敵だよ、と言っても。
一緒にいると人生はとっても広がるよ、と聞いても。
あなたといる人たちがみんな大人っぽく見えても。
あなたを手元に置いておきたい、と思ったことはなかったのですが。
わたしの人生に不意に転がり込んできて、実際一緒に暮らすと、みんなのいう通りで、所有欲が生まれてしまいました。

そして、あなたの手をはなすのが惜しくなってしまいました。



そう、"あなた"とは"車"のことです。

転職で都市部に戻ることになり、車を手放すことに決めて、気づいたことがあります。それが、わたしにはないと思っていた、「車の所有欲」。


トヨタのシエンタに乗っていました


車は便利


26歳で免許を取ったものの、諸事情によりペーパードライバー歴5年。その間、車が欲しいと思ったことは一度もありませんでした。不要だったのもありますが、免許を取っておきながら、運転が怖かったのです。運転できたらと思ったことは何度もありましたが、人を殺めてしまう可能性があるという恐怖心に勝つほどのものではありませんでした。
それに、地球環境的にも健康的にも公共交通機関や徒歩、自転車で済ませられるならそれに越したことない、と思っていました。

しかし、感染症騒動で地元暮らしになり、ついに車に乗ることに。地元では車通勤できないと職を得るのは無理そうという理由が発端でした。(結局、就職先には自転車と公共交通機関で通勤していましたが…)
その後、父が免許返納をし、車を譲り受けるまでに至ります。

それまで自転車でスーパーへ買い物に行ったり、駅から離れたお店へ歩いていくのが当たり前だったのですが、人間、楽さに慣れるのはあっという間。
地方で暮らしていると車は本当に便利。車でないと行けない場所は多いですし、電車の本数も都市部に比べ多くありません。
ただ、このまま長いものに巻かれきってはいけないと思い、大きな買い物をせず徒歩15分程度の場所や、公共交通機関で行ける場合(ひとり移動)などは車は使わないように律していました。

それでも、やっぱり「車は便利」なのです。


車はいらない


わたしは割と引っ越し魔なのですが、荷物量的に所有していた車ひとつで引っ越しはできてしまいます。そういう意味でも、手元に置いておきたいなあといった欲がありました。とはいえ、いくら引っ越し魔でも今のわたしは年に何度も引っ越すわけではないので、車を「所有している」必要はない。

そして最大の悩みは、みなさんご存知。車は所有コストが高い。
車検、保険、自動車税、駐車場、ガソリン代…
貴重な休み、車検や点検に行く時間も取られますよね。

それに、新居は駐車場もないし、会社へは公共交通機関で通勤。自転車でスーパーや図書館には行ける。わたしは今、子どもがいて習い事の送り迎えをしないといけないとか、週末は夫と遠出する、といった家庭にまつわる車が必要なケースとは無縁。地元では車の所有が当たり前でカーシェアは一部地域しかなかったけれど、新天地では行動範囲内にカーシェアもある。

どう考えても、やっぱり「車はいらない」のです。



さらば、車


ほのかな所有欲と愛着は断ち切り、父から譲られた車は義兄へ譲ることになりました。決めた後も、同じ車種を見て「ああ…あの子はもうわたしの車ではないんだなあ…」と思いを馳せる場面もちらほら。

またいつか、わたしも車という相棒を持つことになるかもしれません。
その時も、今回自分を律して付き合っていたように、車に依存しすぎないよう-ものに使われてしまわないよう-うまく付き合う術を習得していきたいと思います。

今は一旦、さらば、車よ!



こちらでは、ペーパードライバーから復帰した道のりを書いています。





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