好きだった本を手放す
休日。家にこもって、読まずに置いたままになってしまった本を読もうと決める。でもなんだか、手が伸びない。本屋に行くと、表紙やタイトルにビビッときて、手を伸ばさずにはいられない。
"ときめきに正直に生きる"がわたしの行動の指針のひとつになっている。だから、気分が乗らないときに無理に本は読まないし、こころが動くものってそう多くないと思うからそういう本との出会いがあれば買ってもいいことにしてる。
部屋を片付けるとき、明らかにこれはもういらないというものはいいんだけど、本棚を見ると手が止まってしまう。一度は確実にこころが動いたものたち。カタチも色も違うものがずらりと並ぶ。きっとまた新しいときめきが増えていくんだからと、そろそろ整理をしなくちゃと思ってぱらっとページをめくる。
付箋を貼ったページをひらくと、さらさらと流れるようにページをめくることができるのに気づく。あのときたしかにこころは動いたけれど、今の自分には必要のないものってあるんだと思う。ちょっと寂しかったり虚しくなったりするけれど。
友人が、「モノを手放すとそこにスペースができて新しい出会いが舞い込んでくる」と教えてくれた。本を手放すことにはきっと、そういう良さがある。
本を手放すことは、絶対にできないことでもないし、でも、わたしにはちょっと難しくて。とりあえず今日のところは保留にしておいた。
多分わたしは、「決める」が苦手だ。
なんだか勇気が出ない。
決めることは、手放すことだから。
曖昧にしておいて、選択肢を残しておけば、
なんとなく心地のよいままでいられる。
どれもいいような気がして、手放せないから。
正解なんてわからなくて。
そもそも、そんなものはないのかもしれなくて。
だけど多分、手放せば心が軽くなる。
"あ、意外とどうってことないな。"
きっと、そう感じられる。
新しい出会いがあるかはわからないけど、
新しい気持ちがわたしをつくる。
何かを手放すことは、
なかったことにするためじゃない。
一度に全部を大切にはできないから。
勇気がない、決められないと思うほどに
手をぎゅっと掴んで離せなくなる。
でも。
今なら大丈夫かも、と思えるそんなときだけでいいから、手をふわりと離してみたい。
わたしに新しい風が届くように。