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なぜ大阪以外に力をいれるべきなのか経営学の視点で考える

こんにちは。海原雄山です。

今回は、経営学の視点も借りながら、長年熱心な支持者の間で行われている議論について、一定の見解を私なりに示したいと思います。

すべての議席は大阪のおかげ!?

選挙戦の前後でたまに見かける議論として、『大阪以外は実績を挙げていないのだから、選挙のお金も大阪に集中して使うべき』『吉村さんは府知事なんだから、よその選挙区で応援なんかやらず大阪でのみ活動すべき』という意見があります。

確かに大阪で多くの議席と首長ポストを押さえているために、大阪では与党としての実績を挙げて、それが説得力になって大阪以外の地域でも選挙で票を集めることができているのは確かでしょう。

そのため、大阪で得たお金や人気であるから、大阪が優遇されてしかるべきという意見は、心情的にはわからないでもないです。

しかし、だからと言って、すべての人もの金を大阪に集中させて良いのでしょうか。それで党勢拡大は可能でしょうか。

『維新は大阪を良くするための政党だからそれで良い。全国展開なんてしなくて良い』という意見もあると思いますが、ひとまず党の方針としては、10年以内に政権を取ると中期経営計画でも宣言されているため、そこの議論は置いておいて、今回は全国展開し党勢拡大を図ることを目的としている前提で話を進めます。

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PPMって何?

ここで『なぜ大阪以外に力を入れるべきか』という問いに対し、経営学におけるPPMの理論を紹介したいと思います。

PPMとは、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントと言い、お金を生んでいる事業とお金が必要な事業を見つけ、資源配分のバランスをとる(再配分する)ための分析手法です。

企業ならば、複数の商品・サービスを手掛け、どこにどれだけ人・もの・金の資源をどう振り向けるかはとても重要な判断となります。


これがPPMのマトリクス表です。

相対的マーケットシェア(市場でのシェアの高さ)が横軸、縦軸はその商品・サービスの市場の成長率(どれだけ市場が大きくなっていっているか)を表しています。

PPMでは、自社の商品・サービスを以下のとおり分類します。

左上(シェア「高」・成長率「高」)・・・花形
左下(シェア「高」・成長率「低」)・・・金の成る木
右上(シェア「低」・成長率「高」)・・・問題児
右下(シェア「低」・成長率「低」)・・・負け犬

『花形』に属する商品・サービスは、シェアも高く市場成長率も高いことから、他社の追随を上手くかわして高いシェアを守り抜くために生産効率を上げるべく大きな投資が必要で、他社とのシェア争いに勝つべく大きなマーケティング費用が必要です。

しかし、そのシェアを守り抜けば、『金の成る木』になる可能性があります。

『金の成る木』は、市場成長率は低いもののシェアが高いため、大きな利益を産むことができます。

その理由は、

・市場成長率が低いため、シェアの低い競合他社が撤退して自社の市場シェアがさらに高まる
・撤退した他社の生産設備を安く手に入れることができる
・花形の時に生産効率が高くなったので利幅が大きくなる
・花形の時の投資をすでに回収しているので利益が丸々儲けになる

です。

一方、『問題児』は市場成長率は高いもののシェアが低いため、市場シェアを上げるためにマーケティング等の費用がかさみます。そのくせお金を生み出せないので、それゆえ問題児と言われるのです。

もし、シェアが上がらず市場成長率が低下すれば、たちまちに『負け犬』に落ちてしまいます。そうなると、今後市場の伸びも期待できないわけですから、撤退を判断しなければいけません。

しかし、ここに人・もの・金を投資すれば、『花形』に昇格し、将来『金の成る木』になる可能性を掴める可能性があります。

もちろん、シェアの上昇が出来なければ、ただただ無駄に投資してしまうだけですから、しっかりシェアを高める施策を打つことが必要で、そういう施策を打てないと判断するならば、思い切って撤退するという意思決定も必要になってくるため、そこは経営者の判断次第なところはあります。

このように事業を4つタイプに分類し、人・もの・金の資源配分をどうするか判断するのが、PPM分析の目的です。

これを維新の選挙に当てはめると・・・

では、このPPMの考え方を、(ちょっと強引にですが)維新の選挙にあてはめるとどうでしょうか。

もちろん、選挙はお金のためにやるわけではないので『金の成る木』等の表現は適切ではないかもしれませんが、説明の便宜上そのままで置いておくとして、横軸を議席占有率、縦軸を議席増の可能性と置き換えて考えて見ます。

左上(議席占有率「高」・議席増の可能性「高」)・・・花形
左下(議席占有率「高」・議席増の可能性「低」)・・・金の成る木
右上(議席占有率「低」・議席増の可能性「高」)・・・問題児
右下(議席占有率「低」・議席増の可能性「低」)・・・負け犬

となります。

現状『金の成る木』は、言うまでもなく大阪(一部除く)です。

すでに、大阪における地方議会選挙はかなり議席占有率が高くなっております。特に大阪府議会等は、第一会派どころか議会の過半数を占め、首長ポストまでも握っていますね。

(公明区という伸びしろはありますが)衆議院・参議院ともにほぼ取れる議席は取り切っている状況ですが、後援会組織もしっかりしておりかなりの確率で選挙に勝てるため高い議席占有率を維持できる状況です。

もっとも、慢心しては有権者が離れる可能性もあるし、首長ポストはまだまだ半分程しか取れていませんが、まぎれもなく『金の成る木』に近い状況と言えるでしょう。

『花形』に近いのは、大阪の中でも比較的議席占有率の低い地域(大阪市から離れた地域)でしょう。比較第一党を争うくらいの占有率を持つものの、東大阪市等支持率が高く、さらにもう少し議席が伸びたり首長ポストに手が届く可能性があるところはそれに当てはまるのではないでしょうか。

大阪市議会等と違って、伸びしろがまだまだあるという意味では『花形』に当たるのではないかと考えられます。

(ちょっと言い方悪いけど・・・)『問題児』にあたるのは京都・兵庫・奈良のような大阪の近隣府県や東京・神奈川・千葉・埼玉等の近畿以外の大都市でしょう。

これらは、地方議会・国政ともに議席占有率はそう高くないものの、近年得票率の伸びが著しく、議席増の可能性が高いです。

実際、これらの地方での地方選挙での戦績が非常に良いです。

実際、昨年スポットで市議選がいくつかあった埼玉では、確実に議席が積み上がってきてます。

ここにさらに人・もの・金を投じれば、さらに議席増を期待できるのではないでしょうか。

『問題児』的な選挙区に、得票率をさらに高めるべく、人・もの・金を投入することは、合理的なのです。

国政の話になりますが、昨年の参院選では予期せぬ事件もあり、吉村さんを集中投入した東京・京都の選挙区で議席獲得はなりませんでしたが、かなり善戦したわけで、加えて比例票も伸びたことから、その判断に間違いはなかったものと、個人的には考えています。

では、大阪の近隣府県でもなければ大都市でもない地方都市は、(これも言い方悪いけど・・・)『負け犬』に分類されて、人・もの・金を一切投じなくていい、もしくは撤退すべきかというと、そういうわけではありません。

今は県連(支部)さえできていない県もありますが、そういうところはそもそもで1議席もないところも多いです。逆に言えば伸びしろもあるとも言えるかもしれません。

そういう意味では、厳密な意味で現状『負け犬』に分類される選挙戦は少ないと言っていいかもしれません。

しかし、間違いなく言えるのは、統一地方選や国政選挙等において大阪(一部を除いた地域)に入る吉村さんの頻度や投入するお金等を少し減らして、伸びしろの大きい地域にそれらを振り分けることは、維新の議席を最大化させるためには極めて合理的な判断であり、非難されるものではないということです。

実際国政選挙において京都、兵庫、奈良、首都圏では比例票等も伸びているため、これらに資源を投入することは間違っていなかったと言えるでしょう。

もっとも、統一地方選と異なりスポットスポットで行われる地方選挙では、そこに全力を振り向けることを否定しているわけではありません。

いくつもの選挙(区)が日程的に重なるシチュエーションで、資源に限りがある中、どこに何をどれだけ振り向けるかという判断を行う時に、PPMの考え方を用いて考えれば良いのではないでしょうか。

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