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Fotorevista

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写真とフォトストーリーを集めたマガジンです。 #写真 #フォトストーリー
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写真を写心と言い換えるのは反知性的と思うのだ

 写真を写心と言い換えて悦に入る写真愛好者は少なくない。  それどころか、自ら【写心家】と名乗る人物も複数存在している。  なぜ、わざわざそんなダジャレみたいな言い換えをするのかといえば、写真に心を写すから写心、なのだそうだ。  写真に心が写るかどうかはさて置くとしても、写真に心が写っているかどうかを感じ、判断するのはあくまでも写真を見るニンゲンであって、まかり間違っても撮影者が自分から言うものではない。  だが、この言葉は実に広く使われていて、また人々の興味を惹いているのは

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八月十五日午後

ミストの夏

「ストリートスナップとは、自由とは何かを哲学する行為!」 Alao Yokogi

ChatGPT先生に応えてもらいました。 「ストリートスナップとは、自由とは何かを哲学する行為」という考え方は非常に興味深く、現代哲学の中でも特に存在論や美学、社会哲学と関連するテーマとして捉えることができます。以下に、その関係性をいくつかの視点から掘り下げてみます。 1. 自由の表現としてのストリートスナップ ストリートスナップは、被写体となる人々が日常生活の中で自然体の姿を見せる瞬間を捉える写真の一形態です。ここでは、ファッションやライフスタイルが自由に表現されてお

ライカの赤いエンブレム

ライカの赤いエンブレムが初登場したのはM4-Pだったと思う。当時の、いや現在でも自分には無縁の機材と思ったが、あまりのカッコ悪さにうんざりしたのは間違いないですよ。それは他の人々も同様だったらしく、当時のカメラ雑誌にはエンブレムがないモデルを探したり、エンブレムをマジックで塗りつぶしたりといったエピソードがちらほら掲載されていました。 おまけに、ボディだけじゃなくてビゾフレックスにも赤いエンブレムがついちゃって、ホンマになんとも言えないしょんぼり感でした。 なにしろ1980年

ミステリアスな2本のゾナー 戦前と戦中のオールドレンズ

ごく簡単なゾナーの説明ゾナーとはレンズの構成型につけられた名前です。子供番組の怪人ではありません。 画像撮影用レンズは、複数のレンズで構成されていて、それぞれの型式を構成型と呼びます。 ゾナーとはツァイスのベルテレという設計者が開発した構成型で、詳細については以下のwikiを参照してください。 ここで重要なのはゾナーはツァイスのレンズで、当時(いや、いまも?)ライバル関係にあったライカには供給されなかったことです。ところが、なにごとにも例外はありまして、さまざまな要因からラ

フィルムカメラが好きなら観といてほしい5大旧作映画+1

カメラやカメラマンが大きな役割を果たす映画はいくつかあり、特に最近の邦画にはカメラ恋愛映画とカテゴライズしても良さそうな作品が続々と公開されていたように思います。ただ、そういった新作や近作の他にも、過去の名作にカメラやカメラマンが重要な役割を果たす映画があるので、ちょっとご紹介させていただこうと思います。 ご紹介させていただく作品は、いずれも映画史に残るであろう傑作であり、同時にカメラマンの所作、つまりカメラを操作する場面が丁寧かつ正確で、なおかつ作品を破綻させていない点で、

思い出のSONY α100を、他のカメラと比べてみたよ

手元にある現役デジカメの最古参はSONYのα100ですけど、特性を踏まえて処理すれば味わい深いシャシンになるから、けっこう気に入っています。 カメラの説明はメーカーサイトを参照してね。 このα100は2006年に発売されたカメラで、ソニーがはじめて送り出したデジタル一眼レフとして、大変話題になったモデルです。 撮像素子はAPS-Cサイズです。当時、すでにキヤノンからEOS-5Dというフルサイズ機も登場していましたが、市場ではまだまだAPS-Cサイズが主流でした。撮像素子の

個撮百景 Portfolio of a Dirty Old Man第6話:本番とリハのあいだに

あらすじ  主人公の【俺】は、都会の片隅に暮らす写真撮影が趣味の中年男。夕暮れ時、思うような写真が撮れないところへSNSに溢れる浅薄なカタカナ言葉を思い出し、苛立ってしまう。今日こそアカウントを削除しようと決意したものの、以前に撮影した地下アイドルから撮影依頼メッセージを受信し、決意も吹き飛んでしまう。いかし、彼女がブログで取り上げた写真という言葉に拒絶反応を起こし、依頼を断ろうかと悩む。口実を探そうと、地下アイドルのメッセージを丁寧に読んで自らの大人気なさに思い至り、撮影を

ニコンD200を買っちゃった話

ヤフーのPayPayポイントクーポンにつられて、うっかりニコンの旧型デジタル一眼レフのD200を買ってしまいました。 カメラの説明はメーカーサイトを参照してね。 自分が買ったD200は2005年に発売されたカメラで、当時としてはニコンで2番目に高級なモデル。 撮像素子はニコンで言うところのDXで、ぶっちゃけAPS-Cサイズですね。撮像素子のサイズについては、メーカーサイトの解説を参照してください。 ただ、最近は撮像素子が大きなFXサイズ、つまりフルサイズセンサーが高級機

ポートフォリオレビュー/アワード 2023 Vol.2 松永 誠「I surrender」 (推薦写真家:中藤毅彦)を鑑賞しました

富士フイルムが45歳以下の若手写真家応援プロジェクトとして運営する「ポートフォリオレビュー/アワード」を鑑賞しました。 個人的にVol.3 minachom「短パン男」 (推薦写真家:浅田政志)とVol.4 茂木智行「Scratched Moments」 (推薦写真家:GOTO AKI)から強い印象を受けました。 その他Vol.1 加藤 卓「土と太陽」 (推薦写真家:野村恵子)もよくて、非常に見応えのある展示でした。 そういった力作の中でもVol.2 松永 誠「I surr

Lomo’Instant Wideを買っちゃった話

バーゲンセールの機会に、いわゆるチェキフィルムの2倍サイズとなるワイドチェキフィルム用カメラのLomo’Instant Wideを買ってしまいました。 カメラの説明はメーカーサイトを参照してね。 自分が買ったのはLomo’Instant Wideのベーシックなブラックモデル。 他にも可愛らしかったりかっこよかったりするカラーバリエーションあったけど、ぶっちゃけ最も安いのを選びました。 Lomo’Instant Wideは、基本的にLomo'Instant Automat

松原 徹写真展「夢の夢」を観てきました

新宿の自主ギャラリー「プレイスM」にて、松原徹「夢の夢」を観てきました。 残念ながら、会期は昨日までだったのですけど、実に素晴らしい展示でした。ギャラリーの展示案内にも作品が紹介されていますけど、どことなく不穏で気味の悪い写真ですが、同時に魅力的で惹きつけられるなにかを感じました。 作家氏ともお話したのですけど、あの技法でこれほどまでに内省的な作品が生み出せるとは思っていなかったし、またあの撮影地でこれほど超現実的な写真が創り出せるとも思っていなかったので、その点でも深い衝

個撮百景 Portfolio of a Dirty Old Man第5話:おじさんポトレとおばさん自撮りのあいだに

■個撮  個人撮影の略。撮影者とモデルあるいは被写体が、それぞれ個人と個人で行う撮影。  個人撮影には、撮影会において時間を区切り、複数の撮影者が順番に行うものと、撮影者がモデルあるいは被写体と交渉し、個別に日程を調整して行うものがある。 (亀子写写丸 フォトグラファーの口説きテク最新101 民明書房 平成31年)  梅雨のさかりというのに雨の気配すらなく、夏を先取りしたかのような熱帯夜の中、俺はヌード写真のトークイベントで微妙な味わいのシャンディガフをすすっている。本

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