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サブカル大蔵経277桑原晃弥『Amazonの哲学』(だいわ文庫)

Googleが米司法省から独禁法で提訴されたのを受け「人々が選んだ結果であって、強いたわけではない」と反論したとの記事を見て、一瞬、Amazonが提訴されたのかと思いました。もう、ごっちゃになってます。それくらいGoogleとAmazonにどっぷり浸かっています。検索という神様。

なぜAmazonを使うのか。なぜ使いやすいのか。なぜ便利なのか。人間の購買意欲のスキマに入り込み、いつの間にか買っている。Amazonは私そのものになっている。

創業者は、いつも怒っていて、ビジネスシートは使わない、<しみったれベソス>。そのすべてが伝説になる、稀代の怪物であり、仕事の鬼は、時代の同伴者であり、現代の思想家といってもいいと思いました。

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アマゾンを憎らしく思いながらも、ついアマゾンを使ってしまう人は少なくありません。p.3

ネットで本を購入するのは最初はbk-1がメインだったのですが、hontoになって電子書籍の割合が増えて使いづらくなり、ポイントもあってAmazonに定着しました。

2018年11月。「いつか倒産する」発言。p.16

 この記事をネットで見た時、ベソスって人は只者じゃないというか、諸行無常を知ってるのかなと思いました。ジョブズに続いてZENがアメリカを導いている?

我々はものを売って儲けているんじゃない。買い物についてお客が判断するとき、その判断を助けることで儲けているんだ。p.47

 購入の判断を助けるという観点。すごい。それがビジネスになる。相談に乗ることが多い僧侶の仕事もそうかも?

利益を出すのは簡単なことです。同時に愚かな事でもあります。アマゾンドットコムで今利益を出すと言うのは文字通り最悪の判断だといえます。p.65

 利益を出さないという方向性。寺院の経営も似ているかも。

ベゾスにとってアマゾンを創業した当時の書店や取次、出版の世界は巨大ではあっても「合理的なビジネスと言えない」状況でした。膨大な返品や利益率の低さ、かかりすぎる時間など、ビジネスとしての効率が悪く、結果的に書店も取次も出版社も、そして顧客もたくさんの不便や不合理を感じていたのが当時の出版業界でした。いわば、ベゾスはこうした未開の地に合理的なビジネスを持ち込んだ探検者であり、決してみんなが満足していた地を破壊した征服者ではないと言うわけです。p.144

 本屋さんで注文すると長く待たされる問題。『傷だらけの店長』読んだ後では、もう本屋さん単独の問題ではないんだなとわかりました。それこそベゾスが目をつけたところなんでしょうけど、どうしてそれをベゾスは打ち破ることができたのでしょう。

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