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サブカル大蔵経339藤島大『知と熱』(文春文庫)

ラグビーは、学生の頃、ある小説を読んでから、なんとなくずっと気になっていました。今それを伝えようと思っても、その小説の名前がどうしてもわかりません。唯一覚えている内容は、試合の最後の方でそれまで協調性のかけらもなかったウイングが思いもよらないありえないところをひたすら走っていて、そこにパスして逆転勝ちする。という流れだったと思います。〈ラグビー 本〉で検索するとW杯以降に出版されたの監督や選手の書籍が多く、小説は少ない。作者は村上龍か高橋三千綱か山際淳司かと思ってたんだけど、該当作品が見当たりません…。私の妄想なのかもしれません…。

「あんまりあの言葉好きではないな。ワン・フォア・オール、オール・フォア・ワン。」p.238

 大西監督は異端なのか王道なのか。

私は先ほど申し上げたように8年間戦争に行ってきました。人も殺しましたし、捕虜もぶん殴りました。しかしその時に、こうなったら、つまり一旦戦争になってしまったら、人間はもうダメだということを感じました。そこにいるのは狂人ばっかりで、大学で人間が教えられる理性とか知性とかそんなもんは微塵もありません。何の役にも立ちません。p.317

 戦争とラグビー。

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大西はジャスティスではなくフェアを説いた。p.11

 本当に大西さんはそう思っていたのだろうか?

ナンバー8が本職の原は、後にプロレス界に飛び込むほどの頑丈な体を誇った。作家の野坂昭如の命名したリングネームは阿修羅・原ある。p.109

 まさかここで阿修羅原と出会えるとは。これも読書の醍醐味だと思います。

芯がぶれとる。みんなが少しずつ自分のしやすいように動く。自分の得意な楽な方法で動き出すんだ。すると負ける。p.136

 楽な方に、しやすい方に動くと負ける。

信は力なり。あの聡明なドイツ人がなんであんなおかしな人物に騙されたのか。それをヒトラーが自分の考えを信じきっていたからだ。p.152

 信じる力、いとこわし。

それはすでにショウでもなくスポーツでもなく、血に飢えた野獣の本能そのものであった。力道の目は後退を許されない戦場の兵士の目であり、名誉と金銭というかこいで隔絶された闘犬のまなこだった。p.198

 まさかの力道山木村対決の観戦記!

モスクワ五倫ボイコットは日本のスポーツを圧倒的に衰退させた。1つは、文部官僚や政治家にスポーツ界を御しやすい存在と認識させたこと。p.216

 今に連なるのかもしれません。

いってみればヤクザ戦法ですよ。p.303

 退任後チームが大東文化に負けて激昂。

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