サブカル大蔵経462柴田勝家『ヒト夜の永い夢』(ハヤカワ文庫)
好きな人ばかり登場します。
その組み合わせ方。逢わせ方。
荒俣宏や山田風太郎と比べながら。
(福来友吉高野山大学教授、南方熊楠と話す。)あなたのことを、土宜法龍師より聞いたのです。師は私の境遇を知って大いに協力してくださったのです。あの方は宗教を近代的なものとする視座を持っておられました。つまり神秘的なるものを科学的にとらえる私の研究と相通ずる視点です。p.23
千里眼の福来友吉と土宜法龍かぁ。
手紙の差出人は伊藤誠哉北海道帝国大学教授。植物学者である彼とは以前から付き合いがあった。そこで紹介を受けた人物こそ鳥山嶺男。北大に勤める応用機械学者だと言う。p.66
伊藤誠哉は作物の病気を防ぐ研究を官学民一体ですすめ、後に総長を務めた人物。鳥山嶺男は、熊楠の恩師鳥山啓の三男。北大という東京から離れた大陸に近い存在のユニークさと怪しさ。
宮沢賢治。この一子の秘密、先生になら話して良いかもしれません。実はこれは石ではなく、粘菌なのです。p.111
賢治の学問的知識をもっと知りたい。
石原莞爾です。田中先生の教えを受けた1人の男がいるんです。宮沢賢治です。宮澤君も俺も東北の人間です。だからどことなく同郷意識がある。昨今の東北のことを思えば力になろうという思いが湧いてくる。p.451
田中智学と東北を縁とした莞爾と賢治。
南方理論で言えば、世の中の全ては物不思議と心不思議の和合による事不思議なのだ。つまり人体つまり脳を含んだすべてのものは宇宙の運行によって生まれ、それに心が作用することで出来事が起こる。p.462
モノとココロとコト。熊楠の思想の中でも難解だけど考えていきたいテーマです。
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