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サブカル大蔵経755國分功一郎/互盛央『いつもそばには本があった。』(講談社選書メチエ)

本との関わりの中で紡がれた熱い書簡集。

哲学を読みたくなりました。

読む人それぞれがいろんな示唆を受けると思われる貴重な現場からの提言。

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私が衝撃を受けたのは、商品の価値は商品には内在していないと言うこの一言だった。(國分)p.12

 柄谷行人とマルクス

人間が現実を認識する仕方は言語によって異なる。(互)p.18

 鈴木孝夫『ことばと文化』岩波新書より

真剣に考えるべき問題は、そんなに簡単には見えてこない。(互)p.37

 そのために書物を作る、著者。

言葉が届くにはとても時間がかかる。(國分)p.56

 分かりやすさの真逆の弱さ、故の。

「余白」が消滅した、ということだろう。(互)p.64

 豊崎光一『余白とその余白または幹のない接木』小沢書店のタイトルより

日本語に翻訳しているのだから、日本語がよいかどうかがまず最初の基準なのである。/私は「訳語、訳語」と言う人があまり信用できない。文章は単語でできているわけではないのである。(國分)p.69

 翻訳について。フロイト全集。人文書院版と岩波書店版。人文書院版の暖かみ。

だが、その「原因」をこそ説い続けたのがフロイトという人だった。「現れ」だけを問題にして、「原因」を問わないということ。/そんな世の中になった。(互)p.76

 瓦さんが編集された岡道夫『ぶどう酒色の海』を読んだ時、瓦さんの願いが少し伝わったような気がしました。

哲学は人文学には収まらないのではなかろうか。哲学が文学部に存在しなければならない理由はどこにもない。少なくとも私が好きな哲学者はいずれも、政治学のような社会科学的なものの見方と実存主義的な感性を備えている。(國分)p.86

 ハンナ・アレントの政治学と哲学。哲学という言葉の解放。國分さんの著作も、頭の中だけでなく、他者との落としどころを探る実践性と、自分の考えが正しさという罠に陥っていないかを常に振り返る客観性を備えられている。そして実直だ。

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