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サブカル大蔵経181橋本治『マンガ哲学辞典』(河出書房新社)

 〈枠の中の常識〉を橋本治がその外側から描くイラスト哲学の書。いかに私たちが枠の中にいるのかを漫画の枠線から諭す。こういう試みそのものがサブカル的な豊かさを感じる。デビューが東大のタテカンだから、絵も達者な橋本治。画風は田村信の影響あるのかなぁという絵柄。自ら評論した少女マンガの画風も挿入。

 全体的に中二病な印象ながら、DIOばりに「俺は人間をやめるぞオオオオ!!」的な不気味な迫力。普通に読めない形で、本の枠組みからも逸脱させる工夫。メタの二乗のような読後感。

 おのれの苦を解き明かす方向は、菩薩そのもの。逝去後に復刊されました。永江朗さん解説。

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女は、女と言う思想と一体のわけで、自立すると女は女じゃなくなります。不合理を知った女などブ男も当然。女は男の作った枠組みからは自由だとよく言われますが、これだって所詮枠の中の思想です。p.36

 枠組みという概念。

男にも意識はあっても、女にも意識は無いのです。女にあるものは、女と言う思想以前以後の別だけです。
女と言う思想と寝る。男と寝る。p.42

 性という現実。思想を一般にまで広げることが、時代を感じる。

自分という発想をした時、人間が子供にしかならないのは、大人を前提にした余分も含めた人間の思想がまだないからなんだって。p.159

 人間になる。それ以前は子供。

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