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サブカル大蔵経196 高野秀行『謎のアジア納豆』(新潮社)

 高野秀行さんの著作は大好きで読み続けていますが、だんだんと学術的な様相を呈してきた感があります。行動の冒険性と言葉を丁寧におさえていくグラデーション。いや、もとからそうだったのかもしれませんが、グルーブ感溢れる筆致と展開でその部分が見えずらかったのかもしれません。身近なところに一番遠くまで運んでくれる可能性がある。それが見えるか行けるか。仏教はまさにそうなんだろうと示唆を受けます。本作もアジア諸国の〈納豆〉を追いながら、非統一的な日本の可能性にたどり着きました。本書は先日新潮文庫に入りました。

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タカノフーズ、現代の納豆生産があまりに工業的なのにもたまげた。p.42

 おかめ納豆。美味しさと安定と。

シャン族曰く、日本の納豆は、火であぶらない生のままでしよ?臭い。p.95

 高野フィールドの中でも納豆があった。しかし、あぶる?〈納豆〉が日本固有のものだと思っていたのは日本人だけだったか。

お雑煮?そんなの食べないよね。関東の文化でしょ?秋田の人が異民族に見えてきた。p.218

 秋田幻想、高まります。日本は均一化している?実は秘境だらけなのでは?

中国湖南省。納豆と醤の境目。p.272

 ひしお。大豆と納豆。味噌と醤油。豆はすごいなぁ。米や小麦ではなく、豆から見た世界史もあるかも。

西和賀名物菓子箱納豆・雪納豆。p.301

 アジア一周して秋田に戻りました。

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