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サブカル大蔵経815橘令『言ってはいけない』(新潮新書)

現代の私はどういう時代を生きているのかという不安。

自分だけが置いていかれているのでは。

自分だけが損をしているのではないか。

あなたのしている努力は、実は無駄です。という露悪的な文体ではありますが、

実は、あなたはそんなことで悩まなくてもいいよ、という優しさの本なのかも。

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仏教的には、格差や競争など、「他人と比べてはいけない」と諭しても、結局比べてしまうという私が照らされる内容といえるかもしれません。

なぜこの本がベストセラーになったか?が現代を象徴しているような気がしました。

今の報道やニュースに対する不信感。本当のことを知らされていないのでは、という情弱への焦燥感。

しかし読みながら、この本もどこかで疑っている自分もいました。統計やデータというものが何故か信用できない自分。

しかし、巨視的な世界史の話は興味深かったです。

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新上流階級はバックパッカー、カナダや中南米で過ごす。p.62

 本当の富裕層は何をしているのか。

狩猟時代の乱婚の痕跡。農耕社会が独占を生んだ。p.196

 文明とは何か。社会と人類の不思議。

ラリーが変わったのはたった一人の黒人だったから。黒人が複数いれば徒党を組んでギャングになる。p.239

 人種差別問題と解放運動の真実。世界史はひとりから始まる。ひとりだから、人を魅力する。

もっとも効果的に相手をだます方法は自分もそのウソを信じることだ。p.245

 宗教も医療も教育もそうなのだろうか。

 


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