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『出来る』理由を探るのも重要だ。

人間って、どうしても出来ないことに目が行きがち。

もっと上手くなりたいとか、なんで出来ないんだろう?とかはすごくよく考えるのに、自分が今出来ることに対して『なんで出来るのか』って、あんまり考えない気がします。

自分が今当たり前のように出来ていることって、なんで出来ているんだろう?

私がそんなことを考えるようになったのは、高校2年生の頃、とある音楽のコンクールに参加した時の審査員の言葉がきっかけでした。



出来ないところだけじゃなくて、出来ている部分も『なんで出来るのか』ちゃんと分析するんだよ。
そうすれば、出来ない理由も分かるよ。


私は中学生の頃からトロンボーンという楽器を吹いていて、細々とではありますが、今はその楽器を使って仕事もしています。

コンクールに参加していた高校生の私は音大受験準備の真っ只中で、いつも出来ない自分に苛立って、出来ない理由を探していました。


身の回りで起きる大体の物事には、いつもなにか原因があってその先に結果が生まれます。

太っているのは食べ過ぎや運動不足。スタイルが良いのは適正な食事量や適度な運動があっての結果だろうし、眠たいのは昨日夜更かしをしたからで、今気分爽快なのはお昼寝をしたから……といった感じに、良い時も悪い時も何かしらの原因があるはず。

もちろん、もともと持っている素質だったりとか、原因不明の病や信じられない奇跡なんかもこの世にはあるけれど、大半のことは原因があって結果がある。


その当時はいまいちピンと来なくてよく分かっていなかったけど、最近の私はいわゆるスランプにはまってしまいそうになった時、『出来る理由』を考えるようになりました。


上手くいってたときは、何を考えて演奏してた?

思い通りの音が出ていたときは、身体のどこを使っていた?

周りからよく誉めてもらえる私の音色、評価されているのはどんな部分だろう?


それが少しずつ分かるようになってからは、大きく調子が落ち込むことも減った気がします。

出来ていたときの感覚や行動、自分の長所を考えて、出来ないところに応用してみる。もちろんそれで解決しないこともたくさんあるけど、解決出来ることもたくさんあります。


日本人は、『謙譲語』なんていう自分を下げて相手を敬う表現をするくらい遠慮がちで控えめな人種。
謙遜が美とされている文化の中で、自分の長所を深掘りするなんて、なんだか逆に悪いことしているような気分になったりもします(笑)


でも、成長していく過程で自分の良さも悪さも丸ごと知ることはとても大切だと思うんです。

私もまだまだ自分の全部を知れているわけではないですが、音楽家として教える立場になった今、子供たちに『出来ないのと同じように、出来る理由も必ずあるんだよ』ということを伝えています。


それを聞いた生徒たちの顔は、きっとあの時の私とおんなじ表情をしているんだろうな。

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