ニンジャ・プログレッシブ
サイ・ラプチャの連中を金に換えるコツは二つ。揺れる眼球が見えるまで近づくこと、良い刀を使うこと。
「来いよ、忍者野郎」
薄暗い室内でそう言った男は、角ばった輪郭からして明らかに内骨格を強化していた。半端な狙撃では殺しきれず、対装甲兵器を調達して割に合う大物でもない。私は両手の小刀を握り直した。どちらにしろ死体を確かめるまでが仕事だ。
距離を詰める。男の拳を躱す。右脇下に刃を入れ、切り裂きながら背後に抜ける。想定通りの動きだったが、成果は期待を下回った。
落とすつもりだった男の腕は白い人工蛋白を噴出しながらいまだ肩と繋がっていて、しかも私の背中には火傷に似た痛みがあった。避けたはずなのに。NiTe社製の減毒CNT服、黒色の深さが気に入っていたのに。
男の動揺する瞳は愉快だったが、その裂けた脇は早くも再生を始めていた。クソナノマシンを宿す連中は解体しなきゃダメだ。
「下手して悪いな。次で殺してやるから」 【続く】